フジの昼番組「ぽかぽか」"意外"と面白いその中身 すべての回を視聴したからこそわかる魅力
ここでの演出が絶妙だった。『ぽかぽか』はお台場のフジテレビ社屋内にある「ぽかぽかパーク」というガラス張りのスタジオから放送されている。豪華なステージ衣装の松崎しげるが歌い始めるのはそのスタジオからだいぶ離れた外の階段のところで、そこから「愛の~♪」としっとり歌いながらスタジオに向かってゆっくりと歩いてくる。
7問以上の正解があればサビと同時にスタジオに入ってこられるようにちゃんと距離が計算されているのである。だが正解が7問未満だと、松崎しげるはスタジオにも入ってこられず強制終了となる。
放送されている空間のロケーションをスリリングに使った上手い演出である。サビが始まる寸前で曲が終わったときのもどかしさや悔しさは形容しがたい。大御所歌手をいじっているぎりぎりの面白さもある。
そして、何回もダメで最後にようやくサビまで歌うことができたときの感動はひとしおだった(第2弾は高橋ジョージで「ロード」だった)。個人的には、今年これまで見たバラエティ番組の企画のなかでも屈指の面白さだったと思う。
ファミリーから無職の若者まで~視聴者参加の魅力
さらに、視聴者参加というのも魅力のひとつだ。
小さな子どものいる2組のファミリーが賞品を懸けてゲームに挑むコーナーはそのひとつ。いかにもお昼の番組という感じだが、そのゲームが麻雀牌1段分を崩さずに同じ麻雀牌の段の上に積めるかという「麻雀牌手積みチャレンジ」なのが、一筋縄ではいかないこの番組らしい。
ファミリー向けの企画ばかりではなく、素人が勝ち抜き形式で役に立たない特技を披露するコーナー「ちっとも役に立たない ふわふわ特技さん」もある。都道府県のかたちをしたおもちゃを口に入れてその感触だけで何県かを百発百中当てられる女性が登場したこともあった。
いまは、ミンティアを格好良く食べられるという特技を持った無職の若者が岩井にも「ティア様」と気に入られ、ずっとチャンピオンの座を守り続けている。
時には観客も参加する。『いいとも!』と同じく、『ぽかぽか』も公開生放送で観客がいる。スタジオの客席に座った観客以外に、ガラス張りなのでスタジオの外にもお手製のうちわやボードを持った出演者のファン、修学旅行生や親子連れなどがいて観覧している。出演者が外にいる人たちとやり取りをしたり、外に行ってインタビューをしたりすることもある。
スタジオ内の観客がコーナーに参加することもよくある。
「ぽいぽいトーク」の際に観客が「○○っぽい」のフリップを出すこともあれば、ゲーム企画に参加することもある。「牛肉ぴったんこチャレンジ」のときに切りかたが違うと思った観客が「え~っ!?」と声をあげることも珍しくない。このあたりの演者と観客のあいだの距離の近さは、『いいとも!』イズムを引き継いでいる。
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