過去最高益!トヨタが伝承する「仕事哲学」

人を責めずに、仕組みを責めよ

トヨタ生産方式の2本柱、「ジャストインタイム」(必要な時に、必要なものを、必要なだけつくる)と「自働化」(異常があったら、工程や設備を止める)には、各工程で生産されるものは良品であるという前提があります。

不良品が多く生産される工程であれば、予定よりも多め・早めに生産しておく必要があるので、納期が長くなりお金の流れも滞ります。

加えて、不良品を生産するための原材料費・人件費もムダなものになるので、利益も圧迫されます。このように不良品は、Q(Quality=品質)C(cost=コスト)D(Delivery=納期)の面で、個人・組織の両方にとって大きなハンデとなります。

効率的に仕事を進めるためには、1人ひとりの担当者が自分の業務品質を完璧なものにする、つまり「品質は工程で作りこむ」ことが必要条件となるのです。

「者」に聞かずに、「物」に聞く

ここでの「者」とは「人」のことで、「物」とは「現場」「商品・製品」のことです。

あるトレーナーは、トヨタ時代にこのような経験をしました。現場で問題が発生したと部下の作業者から報告を受けたトレーナーは、その内容をそのまま上司に報告しました。するとその上司は、「本当にそうなのか」と言って、現場に直行。そして、帰ってくるなり「君が言っていることと現場の状況は、違うじゃないか」と指摘しました。そのトレーナーは、一言も言葉を返せませんでした――。

このようなエピソードは多くのトレーナーが一度は経験しているものであり、今はお客様のメンバーに彼ら自身が指導しているものです。

人の言葉を信頼することは大切です。しかし、人は何か失敗した場合には自己防御が働き、100%正直なことを言えなくなります。さらには、報告自体も遅れがちです。幼い頃、テストが満点な日は走って親に報告したのに、50点のテストは引出の中に丸めて仕舞い込んだ(私も実体験があります)……あの心理状態と基本的には同じです。特に問題が発生した時には、現地現物で確認することが重要なのです。

また、別のケースで考えてみましょう。

みなさんのお子さんが、牛乳を飲もうとして手を滑らせて、ガラスのコップを割ってしまったとしましょう。その時に、みなさんはどのように対応しますか?

「何やっているの!気をつけなさい!!」と反射的に叱りつけたとしたら(そんな気持ちになるのも理解できますが)、その場で子どもは謝るでしょう。しかし、みなさんが何も対策を取らなければ、明日も同じことが起こる可能性があります。

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