トヨタが新工場決断、凍結解除で反転攻勢

3年間の沈黙を破り、中国とメキシコに照準

トヨタが新工場建設へと新たなステージに立った(写真は2月24日の燃料電池車「MIRAI」の発表会見)

「新しい工場に向けた次のステージが少しずつ見え始めている。開発現場でも生産現場でも、これまでと次元が異なる、賢い車作りが始まりつつある」3月29日。トヨタ自動車が初めて開催した、個人投資家向け説明会の場で、豊田章男社長はそう公言した。

その言葉通りに、あのトヨタが久しぶりに新工場の建設へと踏み出す。

2018年から2019年にかけて、完成車の新工場を立ち上げるのは、中国・広州とメキシコだ。年間生産能力はそれぞれ最大10万台と20万台で、投資額は合計1700億円を見込む。今月中にも正式決定する見通しである。

トヨタは2013年に、新工場建設を3年間、2015年度いっぱい凍結する方針を表明している。

寄せ止めで無駄な設備を集約

それには過去の苦い教訓がある。2000年から2007年にかけて、毎年のように世界各地で工場を新設し、年間約50万台ペースで増産していった。だが、リーマンショックによる需要急減に対応できず、2008年3月期に2兆円を超えていた営業利益が一転、2009年3月期には4600億円の赤字に沈んでしまった。

「グローバル展開があまりにも速すぎた。需要に追いつくために機械をたくさん買って並べただけの知恵を入れない設備を作ってしまった」。製造現場を熟知する河合満専務役員は当時を振り返る。

この反省を踏まえトヨタが徹底してきたのが、工場で無駄な設備を止めて集約する、「寄せ止め」だ。さらに、天井から吊るすクレーンや大型のコンベヤーをなくし、簡便な搬送装置を活用する、フレキシブルなラインを順次導入。樹脂成形、溶接などさまざまな工程で、従来より作業時間・スペースを大幅削減した。

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