トヨタが新工場決断、凍結解除で反転攻勢 3年間の沈黙を破り、中国とメキシコに照準

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新工場となれば、1年前倒しでの凍結解除となる。ただ実は「3年」には、もともとさほど意味はない。

「従来の延長線上で何も考えず、需要が増えるから新工場、というのはダメ。既存設備を徹底的に使い尽くすなど考え抜く。それでも新工場が必要な場合、投資額を大きく減らす工場ができるか。できなければ4年経っても凍結解除はない。逆にいえば、できるならいつ解除してもいい」。年初に最高首脳は“凍結”の意味をこう説明していた。

生産現場の改善成果が出始める一方で、中国や北米市場では将来の供給能力の逼迫懸念が高まっていた。競合相手の独フォルクスワーゲンは積極投資でトヨタを上回る生産能力を築こうとする。それでも、何度か経営トップへ上げられた新工場計画に、ゴーサインは出ないままだった。

そして機は熟した

3月26日の報道関係・アナリスト向けの説明会。車両系生産技術・製造本部長の牟田弘文専務役員は「(工場を建設する際の設備投資額を)2008年に比べ約4割減らせるメドがついた」と胸を張った。

豊田社長は2014年5月に決算発表の席上、「意志ある踊り場」との表現で、目先の台数や業績でなく、20年、30年先まで持続的に成長できる競争力を磨く考えを示した。わずか1年で基盤作りが終わったわけではない。が、今年以降、経営のバランスは、「守り」より「攻め」の色が強まりそうだ。

「週刊東洋経済」2015年4月18日号<13日発売>「核心リポート02」を転載)

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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