劇場版「TOKYO MER」36歳監督語る大ヒットの裏側 2023年の上半期実写1位、興行収入44億円突破
――結果として大ヒットさせていますが、作品を完成させたときには「これはいける」という手応えはありましたか?
恥ずかしながら、この作品がどう受け止められるかまったくわかりませんでした。
特に連続ドラマのときは、日曜劇場という重厚な世界観や繊細な人間ドラマで知られた、大人の視聴者層が多いドラマ枠で今作がどう見られるか、不安のほうが大きかったです。でも、初回放送後に幅広い層から多くの反響をいただき、まちがっていなかったんだと思って。そこからキャスト、スタッフの方々への指針も定まっていきました。
映画化に当たっては、ドラマで好きになってくれた人たちの期待を裏切らない作品にしたい、ということを大事な指標にしていました。
――CDとして手がけた初作品でした。この作品にどう向き合ってきましたか?
もともとエンタメ感の強い作品が好きでした。本作の企画書を読んだときに、ヒーローエンターテインメント医療ドラマだ!と思ったので、大人から子どもまで誰もがワクワクするような作品にしたいと思いました。
一方、このドラマの制作はキャストにもスタッフにも大変な労力がかかる、ということは撮影前から薄々気づいていましたが、それでも私は初めてのCDだから、大変なことを知らないフリをして、やりたいことを全部やってしまえと思って(笑)。
そうしたら、ドラマ1話目のバス事故シーンの撮影で、想像以上に苦労をかけさせてしまって。撮影中に自分の至らなさにすごくヘコみました。でも、そこまでして撮影したんだから、絶対にいいドラマにしないといけないと自分に言い聞かせていました。
フィクションとリアリティーのバランスへのこだわり
――感情を動かす要素が盛りだくさんに詰め込まれた作品です。松木さんの演出のカラーやこだわりが出ているのはどういうところでしょうか。
自分ではカラーとか特徴はわかりませんが、この作品で大切にしたのはバランスです。私は80~90年代アクション映画のようなバキバキのエンタメ作品が好きなので、本作でアクションエンターテインメント要素の強いシーンは、とことんやりたいことをやる。でも、医療ドラマとしての側面は、リアリティーを大事にしました。
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