日本経済の行方、原発事故長期化が重荷、復興需要頼みには限界も
復興需要を先取りして日本株は上昇したが…
外国メディアは“フクシマ”に高い関心を示す。日本株相場でも海外勢が“主役”を務めるだけに、「同問題の行方が大きなカギを握る」(BNPパリバ インベストメント・パートナーズの山本平会長)。
大震災発生で日経平均株価が急落した後、急速に値を戻したのは外国人投資家が先導したからだ。オバマ米大統領が自国内での原発建設を予定どおり進める考えを明らかにしたことなどが、買い手掛かりとされる。みずほ投信投資顧問の荒野浩理事は、市場関係者から「米国投資家の半端ではない買い物が入った」と報告を受けた。「“日本は復興に強い”との判断が働いたようだ」(荒野氏)。
だが、「原発問題の長期化は不可避」との見方が勢いを増すにつれて、海外勢の買い意欲は減退。これを受けて株式相場の上値も重くなり、日経平均は1万円台回復を目前に足踏みする。
原発事故をきっかけに、「安全神話」が大きく揺らいだ日本。海外でのブランド力毀損が国内経済には重くのしかかる。
もっとも、当面の景気をめぐっては、目下「リバウンドシナリオ」が優勢。大半のエコノミストは「今年前半に大きく落ち込むが、後半には復興需要に押し上げられる」と説く。実質国内総生産(GDP)の伸びを四半期別に見ると、同年1~3月期と4~6月期がマイナスで、7~9月期と10~12月期はプラスというイメージだ(前期比年率)。
内閣府の試算によれば、東日本大震災による建物や、道路・港湾などの社会インフラ、電気・ガス・水道などいわゆるストックの被害額は16兆~25兆円に達する見通し。1995年に発生した阪神・淡路大震災時の9兆9268億円(兵庫県公表額)を大幅に上回るとみられる。