日本経済の行方、原発事故長期化が重荷、復興需要頼みには限界も
阪神・淡路大震災時には95~97年の3年間に計13・5兆円と、直接被害額を上回る純投資(純固定資本形成)が実施に移された。今回も大規模な復旧・復興に向けた投資が行われるのは確実というわけだ。
阪神・淡路大震災と同様、ストックが3年間で復元されるのを前提とした場合、2011年度に5兆~8兆円規模の復興需要が生じる、と内閣府では分析。今後、数次にわたる補正予算が編成される見込みだ。その総額は「10兆円規模に達するだろう」(バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミスト)。
だが、日本経済は原発事故の深刻化や、それに起因する電力供給不足、製造業のサプライチェーン(供給網)分断といった難題に直面。反発の勢いは大きく鈍る公算もある。
特に個人消費の下振れリスクは小さくなさそう。原発問題は外国人の日本脱出を促すだけでなく、農産物に対する風評被害拡大を通じて買い控えなどを助長するおそれがある。
電力供給の不安定な状況が続くかぎり、節電への取り組みも終わりそうにない。これも消費には重しだ。
「サラリーマンのメッカ」として知られる東京・新橋駅前の「SL広場」は震災前と様変わり。周囲の建物のネオンサインは消え、看板の明かりを消して営業する飲食店は、「閉まっている」と客に勘違いされてしまう。
「節電しなければならないときに、羽目を外すのはいかがなものか」。自粛ムードの高まりを反映してか、同広場で待ち合わせし、街へ繰り出す人の数も減った。客が来なければ早めに店じまい。深夜営業をやめるところも出てきた。