チェルノブイリの経験を生かして悲劇を回避せよ--松本市長/医師・菅谷昭《上》

チェルノブイリの経験を生かして悲劇を回避せよ--松本市長/医師・菅谷昭《上》

信州大学での外科医としての職をなげうち、チェルノブイリ原子力発電所事故後のベラルーシに滞在。5年半もの間、原発事故で放出された放射能による甲状腺がんで苦しむ多くの子どもたちを治療し続けた菅谷昭・松本市長。その献身ぶりは「奇跡のメス」として、ベラルーシ国民から高く評価されている。放射能がもたらす悲劇について、日本で誰よりも詳しい菅谷市長は、今回の原発事故をどう見ているのか。

──かつてチェルノブイリ原発で起きたのと同じ原発事故が、日本で起きてしまいました。

原発の安全性について、日本政府に驕りがあったと言いたい。チェルノブイリでの教訓を生かしていない。危機管理の欠如も甚だしい。世界でも有数の原発大国なのに、事故発生後の対応は後手後手だ。

──東京電力福島第一原発では、放射性物質の放出が止まりません。

ベラルーシでは、住み慣れた土地から強制的に避難させられた、あるいは汚染地区に住まざるをえない住民の切なさや悲しみを見てきた。その経験からいえば、核の災害は自然災害とはまったく違うことをわかってほしい。当初から最悪の事態を想定して、先手、先手と対策を打つべきだった。やりすぎるということはない。結果的にそこまで悪くならなかったとしても、「ごめんなさい、でもよかった」と言えるものだ。やらないで悪い事態になるのとは全然違う。

自然災害は、復興すればそこに住める。だが、核災害では住めない。チェルノブイリでも原発から30キロメートル以内は強制移住の対象になった。福島でも、そうなる可能性は十分ある。私は最初から、30キロメートル以内の住民は退避させたほうがよいと言ってきた。チェルノブイリの規模であれば、50キロメートル範囲でも危ないからだ。

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