東、すなわち千葉方面に向かう私鉄は、京成だ。“東京”“成田”から1文字ずついただく京成本線のターミナルは、上野公園の脇に位置する京成上野駅。JR上野駅とも歩いてすぐの場所で、日暮里駅ではホームもJRと隣接しているので乗り継ぎにさしたる問題はない。
が、こちらも隅田川と荒川を続けてわたって地下鉄浅草線直通列車が走ってくる押上線と合流するのが青砥駅。京成電鉄の源流でもある京成金町線を分ける京成高砂駅、京成小岩駅、江戸川駅と江戸川区内を走ると、もうすぐに千葉県に入る。成田空港は、さらに遙か遠い先である。
私鉄沿線ごとに文化圏
こうしてみると、ものの見事に東西南北各方面へと東京都心から私鉄路線が延びている。だいたい、子どもの頃、または上京して最初にどの私鉄沿線で暮らしていたかによって、その人の生活圏内がおおむね定まってしまうという。山手線のターミナルも頻繁に利用してきた駅に親しみを持つのだ。
たとえば小田急沿線に住んでいた人が、いきなり京成沿線にお引っ越しとはなかなかいくまい。文化圏が違うとまでは言わないが、路線が変われば雰囲気も違う。利便性でいえば、どれも地下鉄に直通するし運転本数も多いし、遜色はない。だが、私鉄ごとに沿線文化が形作られて、それらすべてが都心に向けて集まって凝縮される――。それが、東京の鉄道ネットワークの生み出した帰結なのかもしれない。
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