米国でも実は「株主第一主義の修正」進む納得事情 新たな企業組織形態を導入する動きも広がる
行き過ぎたグローバル資本主義
リーマン・ショック後における世界的な大規模金融緩和によるカネ余りと経済のグローバル化を背景として、グローバル資本主義(金融資本主義)の隆盛が極限にまで達した結果、近年、その副作用ともいうべき「格差」の問題が世界的にクローズアップされるようになり、グローバル資本主義の行き過ぎを見直す動きが広がってきた。
例えば、トマ・ピケティは、2013年に出版され、世界的なベストセラーとなった『二一世紀の資本』などで、トップ1%の富裕層への富の集中がアメリカを中心として世界的に進行しているが、このような極端な格差の拡大は、「資本からの利益率(r)> 経済成長率(g)」という不等式で表されるように、資本主義そのものに内在する論理に基づいているとの主張を展開している。
このような中で、イギリスの国民投票でブレグジット(EUからの離脱)が決定され(2016年)、トランプ政権が誕生する(2017年)など、潮目の変化が鮮明になってきた2010年代後半から、コーポレート・ガバナンスをめぐる議論においても、従来の主流であった株主資本主義(企業経営は株主の利益を最大化すべきとする考え方)に代わって、ステークホルダー資本主義(企業は株主への貢献を第一として利益を追い求めるのではなく、企業活動に影響するすべてのステークホルダーに貢献すべきだという考え方)を強調する流れが強まっている。
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