特定原付「7月解禁」で電動キックボードどうなる よくある2つの疑問と解決すべき3つの課題

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フランスのパリ市といえば、電動キックボードシェアリングの先進的な導入都市として知られてきた。

ところが、2人乗り、飲酒運転、違法駐車など法令違反が後を絶たないため、2023年4月2日に「パリ市内での電動キックボードシェアリングの存続の有無」を問う住民投票を実施。その結果、反対多数で、2023年8月末でパリ市内での電動キックボードシェアリングは禁止されることが決定した。

パリの電動キックボード(Stsvirkun / PIXTA)

個人所有は継続するが、こうした禁止決定がグローバルで今後の電動キックボードのあり方に対する影響は計り知れない。なぜならば、欧州連合やフランスでは2000年代から、SRU(都市の連帯・再生法)やSUMP(持続可能な都市モビリティ計画)など、都市におけるモビリティに関する法律を定めてきたからだ。

また、パリ市は現在、全域でクルマ等の走行速度を時速30kmとする「ゾーン30」が実施されている。電動キックボードでは、歩行者が多い地域などで、GPSによる位置情報から最高速度を自動的に時速10kmに制御するシステムまで導入してきた。

こうした長年にわたるパリ市での取り組みがあっても、結果的に一部の電動キックボードシェアリング利用者の「モラルの欠如」によって、同サービスはパリ市内から姿を消すことになってしまったのだ。

また、パリ市のアンヌ・イダルゴ市長が2023年6月28日の記者会見で、同年9月以降にも利用可能な個人所有の電動キックボードについて説明。「歩行者が最優先」という観点で、罰則規定を厳格化した規則を同年7月6日から運用することを明らかにした。

日本においては、これからパリ市での教訓を十分に踏まえて、既存法の改正と新法の制定と利用者のモラルとのバランスを上手くとっていってもらいたい。

当事者意識を持って本気で取り組めるか?

最後の3点目は、「本気の地域づくり」である。特定原付などの新しい乗り物が、それぞれの地域でどうあるべきかを自治体、事業者、そして地域住民の1人ひとりが「当事者意識」を持って考えることが重要だ。

結果的に、都道府県や市町村による条例で、特定原付の利用について一定の制限を設けることや、それぞれの地域の社会実態に応じたガイドラインを作成することも考えられるだろう。

こうした「モラル」「これまでにない法整備」「本気の地域づくり」が三位一体になってこそ、特定原付の存在価値が高まるはずだ。

今後も、特定原付など、新しい乗り物の社会におけるあり方について、各地の現場取材を基にフォローアップしていきたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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