「電気代が値上げがあまりに厳しい」根本的な原因 エネルギー市場では何が起こっているのか

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(写真:freeangle /PIXTA)
2023年6月から大手電力7社の電気料金が15~39%程度で値上げされることになった。標準的な家庭の使用量をもとにした値上げ後の電気代は、東京電力だと881円上がって7690円となる。物価高が暮らしを直撃するなか、電気代の高騰は私たちにとってさらなる負担となりそうだ。
今回、電気代はなぜ値上げされたのか。原因のひとつとされる資源エネルギーの高騰について、『地政学で読み解く! 戦略物資の未来地図』の著者であり、日本エネルギー経済研究所、専務理事・首席研究員の小山堅氏に聞いた。

コロナ禍で資源エネルギーの需要は激減

資源エネルギーの「安定的な供給」と「手頃な価格」が損なわれた背景のひとつは、新型コロナウイルス禍による経済停滞にまで話をさかのぼります。

2020年、多くの国が感染拡大防止のためにロックダウン(=都市封鎖)を実施したことによって人や物の移動が制限されると、移動のための資源エネルギーを消費する機会が激減しました。

日本の場合、海外のような厳しいロックダウンは実施されませんでしたが、人々の移動や行動は大きく制限されました。その結果、例えば日本航空の2020年度の通期決算では前年比で国際旅客が94.2%減、国内旅客も67.2%減になりました。また、感染対策を目的にリモートワークが急速に普及したことで当時は通勤客が激減するなど、目に見える形で物理的な移動がなくなりました。

人の動きだけではありません。工業製品の国際的なサプライチェーンも寸断され、東南アジアから日本への自動車部品や電子部品の供給が途絶する影響もありました。このように世界中で移動と行動が制限されたことで経済活動は低迷し、資源エネルギーの需要は激減しました。

私の見立てでは、2020年4月から6月にかけて瞬間的にではありますが、世界の石油需要は3〜4割程度減った可能性があります。まさに、需要が蒸発して消えてしまったような状況です。

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