例えばノンカフェインのコーヒーを売るときに、ただ「ノンカフェイン」と訴求するのではなく、「コーヒー好きだけど、妊娠中でカフェインを摂れない方へのプレゼントに」とメッセージングする。あるいは、「髪がまとまるシャンプー」ではなく、「毎日忙しくてヘアケアの時間が取れないあの人へ」と伝える。そうして「これをあの人にあげたら喜んでもらえるだろうな」と訴求することができます。
それに、プレゼントはあげる人、もらう人の外にも広がります。
例えば、電車の中で花束を持っている人を見て、「誰かにもらったのかな」「誰かにプレゼントするのかな」「送別会かな」と、前後のストーリーを想像することがあるのではないでしょうか。また、誰かにプレゼントをもらったエピソードや、その画像をSNSにアップすることも多いと思います。
プレゼントをあげる、もらうということに対して生まれる喜びだけではなく、プレゼントを渡している姿を見て、 また別の共感が生まれるのです。
コミュニケーションという視点では、企業と消費者間のやり取りも大切になります。
SNSの企業アカウントとして有名なのが、SHARP社のTwitterアカウントです。まだTwitterがそれほどビジネスに利用されない時期から運用に注力していたことで、抜きん出た存在になっています。いわゆる先行者利益であり、いまからほかの企業が超えるのはまず無理といっていいでしょう。市場の特性上、後発者は圧倒的に不利です。
ただ、このように、企業が公式アカウントを通して消費者とつながるという構図が、これから一気に変わる可能性があると考えています。ひと言でいえば、「コミュニケーションアカウントをつくる」という発想です。
これから企業に必要なのは、公式アカウントや広告運用のためのアカウントではなく、消費者とコミュニケーションを取るためのアカウントです。
ユーザーからリアルな情報が集まる
例えばお茶のメーカーがInstagramのストーリーズで「次に欲しいフレーバーは何ですか?」と質問する。それにユーザーが「桜の香りが欲しい」と回答します。簡易にリアルな情報を集めると同時に、ファンコミュニケーションができます。
ただ、企業が直接消費者とつながろうとすると、どうしても宣伝や広告の雰囲気が出てしまいます。そこで必要なのが、企業と消費者の間をつなぐ存在です。
企業の言いたいことを適切に翻訳し、消費者へ伝える。また、消費者の考えていることを理解して、企業に伝える役割です。
企業と消費者の両方とやり取りできるのが、インフルエンサーと呼ばれる人たちです。彼らは商品やサービスを使った感想をハッピーな表現に置き換えて発信し、共感を呼び込むスキルを持っています。消費者にとっては、自分の好きなインフルエンサーによるUGCが、購入の強い動機になるわけです。
企業が自分たちでインフルエンサーを生み出すのでもいいですが、それでは難易度が高くなります。そのため、企業がインフルエンサーに発注する。インフルエンサーを介して消費者と企業が繋がる。そうした構図になっていくように思います。
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