「社会にいいこと」で「稼ぐ力」を上げるESG投資 当たり前の手段で資本主義をアップデートする

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ボストンに本社を置くWayfairは低価格でデザイン性の高い家具を販売するネット企業として台頭したが、アメリカ政府に納入したマットレスが、テキサスにある移民の子供たちの抑留施設に使われていることが明るみに出て、不買運動が発生した。さらに従業員 500 人が抗議のストライキを起こした。

わずか20万ドルのマットレスの売り上げと引き換えに、Wayfairは従業員とブランド価値を大きく損なうこととなった。

ジェネレーションZをはじめとする消費者は、SNSなどを駆使して企業のアクションを意識する、しないにかかわらずモニターしている。そのため、企業単体のESG/インパクトアクションだけではなく、1次、2次、3次サプライヤーでも環境上、人権上の問題がないか注視し管理する必要がある。仮に問題があれば大きなリスクにさらされ、コスト増要因になる。

ESG/インパクト投資の3つの観点のうち(2)のコスト削減では、複雑なサプライチェーンの全体像を多面的にモニターし、その透明性もブランド化していく。

ミッションを掲げると、いい人材が集まる

加えて、ESG/インパクトの取り組みは、人材面でも長期的なコスト削減に寄与する。

企業にとって人材は価値創造の源泉と捉える考え方から、人的資本に関する情報開示が進んでいる。近年は人材の流動化が顕著で、採用のみでは優良な人的資本を維持できず、リテンション(従業員雇用維持)の重要性が高まっている。

その時、重要になるのが、より多くのジェネレーションZをどう惹きつけるか、ジェネレーションZが会社を辞める理由になるような「反ESG的なイメージ」をいかに払拭するかだ。

デロイトが東南アジアの1000人以上を対象に行った調査によれば、ジェネレーションZの56%が、雇用主(企業)の社会的目的や社会的なプラスの影響を、雇用主のブランド人気よりも優先していることがわかった。

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