バフェットの孫が設立した投資会社の「目的」 社会貢献と利益の二兎を追うことはできるか
ハワード・ウォーレン・バフェット は、投資会社バークシャー・ハサウェイの創業者ウォーレン・バフェットの孫だ。32歳という若さながら、多彩なキャリアを誇っている。
現在はコロンビア大学で教えるかたわら、ネブラスカ州で農場を経営している。一族の慈善財団の運営に当たった経験もあれば、国防総省の下でアフガニスタンの経済開発に携わったこともある。
一方でバフェットはこれまで、一族に名声と資産をもたらした民間企業への投資とは距離を置いてきた。
だが、状況は変わりつつある。バフェットは大きな夢の実現に向け、仲間と持ち株会社「i(x)インベストメンツ」を立ち上げたのだ。i(X)は鉄道から菓子メーカーまで幅広い業種を傘下に収めるバークシャーと、形の上ではとてもよく似ている。
ビジネスの力を社会変革のために活用
時代に左右されないしっかりした企業を買収してきた祖父とは異なり、バフェットは未来志向のアプローチを取っている。i(x)が投資先として考えているのはクリーンエネルギーや持続可能な農業、水不足といった問題に取り組んでいる企業。それも本来の価値より低く評価されている若い企業だ。
「最も効果的なポイントを探しているんだ」とバフェットは言う。「こうした投資を通して社会をよくするにはどうしたらいいか。人類が最も必要としている課題に対処するために、資本を生かすにはどうしたらいいか」
バフェットと共同でi(x)を立ち上げたトレバー・ニールソンも、同じようにさまざまな仕事に就いた経験をもつ。前職はG2投資グループという金融サービス会社の社長。ビル&メリンダ・ゲイツ財団の広報責任者のほか、ビル・クリントン元大統領の下で働いたこともある。