景気の先行指標、機械メーカーの実態とは? スマホ鈍化、中国経済はどれほど深刻なのか
「中国など新興国経済の減速」「中国における需要の減少」――。
10月から11月にかけて発表された、3月期決算企業の中間決算。ベアリングなどの機械部品メーカーや工作機械メーカーで、通期の業績見通しの下方修正が相次いだ。その理由は、冒頭のような中国経済の減速だ。
機械部品メーカーや工作機械メーカーは、設備投資や景気の影響を早い時期から受ける傾向があり、業界の動向は景気の先行指標として市場関係者からも注目されている。そこで下方修正しが相次いだだけに、中国の景気減速を深刻視する声も少なくない。
ベアリング大手が相次ぎ下方修正
これまで好業績を謳歌してきたベアリング最大手の日本精工は、10月に2016年3月期の通期業績を下方修正。今期売上高1兆円の達成をもくろんでいたが、9800億円前後となる公算だ。利益率の高い産業機械向けのベアリング需要が中国向けで落ち込んでいるほか、下期にフォルクスワーゲンなどが中国向けの自動車生産をさらに拡大させていくと見込んでいたが、思惑が外れた。
直動案内(リニアガイド)機器で世界シェア5割を誇るTHKも、今期業績見通しを大幅に修正、営業益は前期比で26%のマイナスになると見る。「中国の需要環境が悪化。8月頃から対策に入ったが、対応が間に合わない」(THKの寺町彰博社長)。中国の大連に新工場を立上げ、増産体制を敷いた矢先に、中国ショックが襲った。人件費等の削減を試みるも、今期業績は下方修正せざるをえなかった。
同じく直動案内機器やニードルベアリングを手掛ける日本トムソンも、中国などアジア向けの受注が8月以降失速。下半期(2015年10月~2016年3月)のアジア向けの売上高は上半期に比べ約15%程度減少する見通し。「(来年2月の)春節明けまでは落ち込みは続きそう」と宮地茂樹社長は言う。
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