景気の先行指標、機械メーカーの実態とは? スマホ鈍化、中国経済はどれほど深刻なのか

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工作機械業界の決算は濃淡が出た。小型工作機械大手のツガミは、11月12日に2016年3月期の見通しを下方修正。売上高は前期比22%減の420億円、営業利益は同約6割減の30億円という厳しい数字になると発表した。

主因はスマホだ。2014年ごろから2015年の始めにかけて米アップルのiPhoneをはじめとしたスマホ部品を製造する、中国・アジアのEMS(電子機器の受託生産サービス)向けの受注が急拡大した。その特需が今年の上半期に止まった。特需の剥落はある程度見込んでいたが、他の業種向けで予想以上の景気減速の影響を受けているという。「(今年8月の)上海ショックの前から稼働率は悪化していた」(ツガミの西嶋尚生社長)。

一方、自動車や航空機向けの工作機械を多く手掛けるメーカーは、スマホ失速の影響が軽微なため、業績は堅調に推移。オークマは採算性が向上し、2015年度の通期営業利益を20億円増額した。牧野フライス製作所も上半期の業績は、期初の想定を上回った。国内で省エネ補助金などの政策効果があったことや、北米などの自動車や航空機向けの好調の要因となっている。

10月受注の急減が意味することとは?

日本工作機械工業会が発表する工作機械受注統計を見ても、スマホ関連を含む電気・精密向けが前年比で半減している一方、自動車向けや一般向けは堅調な動きを続けている。

ただ、気になるのは、10月の受注統計の数字。概ね100億~120億円前後で推移していたアジアの自動車向け受注が、59.5億円と急減した。「非常に落ちているのは驚いているが、9、10月辺りが中国ショックの影響を一番受けた月ではないか」と、日本工作機械工業会会長でもある花木義麿オークマ社長を見ている。

景気の影響を受け、一時的に案件が先送りになった可能性もあるが、来月以降の数字を確認する必要もあるだろう。

 

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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