コマツ、日立建機が直面した中国市場不振 日米大手は今期減益へ、人員削減に躍起
建設現場で走り回るコマツ製の建設機械。稼働率は4月以降、世界で前年比8〜10%落ち込んでいるという。建機メーカーの出口の見えない苦闘が続いている。
10月27日に日立建機、28日にはコマツが2016年3月期の中間決算を発表。足元の厳しい業況を織り込み、日立建機は期初の通期予想を下方修正した。営業利益ベースではコマツが前期比8.7%減、日立が52.5%減と、円安の恩恵を受けながら落ち込む見通しだ。
苦しい環境に置かれているのは、世界最大手の米キャタピラーも変わらない。今年1〜9月期の営業利益は前年同期比で2割超の減益。2016年12月期の売上高については、今期よりもさらに5%前後下回ると発表している。
インフラ投資が一気に縮小
最大の誤算となっているのは中国市場だ。2008年に実施された4兆元の景気刺激策は、数年間にわたって建機業界に追い風となったが、2011年ごろからフェードアウト。インフラ投資の縮小で、例年販売の最盛期を迎える春節明け(2月後半〜3月)も、今年は商談がやんでしまった。中国国内の油圧ショベル需要は2014年度に引き続き、2015年度も9月まで一度として前年を超えていない。
消費型経済への移行を掲げている中国政府だけに、カンフル剤的な効果しかない公共投資は抑制する方針で、大規模なテコ入れは今後も考えにくい。「今が底なのかどうか、もう少し状況を見なければ」(コマツの藤塚主夫CFO〈最高財務責任者〉)。建機の需要回復は早くても2016年後半と見る向きが大半である。
もう一つ頭痛の種になっているのが、インドネシアや豪州向けの鉱山機械だ。中国や新興国の景気失速で、石炭など主要鉱物の価格は、ここ10年間で最低水準に下落。建機の大口顧客である資源メジャーは、新規の機械投資を極力絞っている。この影響をもろに受け、キャタピラーの鉱山機械関連部門は7〜9月期、営業赤字に沈んだ。
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