しまむら「どん底」から3年で復活遂げた3つの秘策 79歳「中興の祖」が再登板、商品改革にも大ナタ

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さいたま新都心の本社に隣接する大型店は、売上高上位5店舗に入る繁盛店(撮影:風間仁一郎)

「ファッションセンターしまむら」などを展開する、低価格の実用・ファッション衣料のしまむらが好調だ。2023年2月期は売上高が6161億円(前期比5.6%増)、営業利益が533億円(同7.9%増)と、2年連続で最高純益を更新した。

しかし直前の3年間は停滞期に苦しんでいた。しまむらは2018年2月期から2020年2月期まで3期連続の減収減益となり、その間にコロナ禍へ突入。2020年2月期の営業利益は229億円と、最高純益だった2017年2月期の487億円から半減していた。

どん底だった2020年2月、社長交代が行われた。就任当時のことを鈴木誠社長は「過去にない業績停滞期で、非常にタイミングが悪かった」と振り返る。同年6月に発表した2021年2月期第1四半期(3~5月)は、12億円の営業赤字に転落。四半期とはいえ会社設立以来、初の赤字決算である。まさに崖っぷちからの船出だった。

崩れた勝利の方程式

しまむらが低迷した理由について鈴木社長は「しまむらの強みは高品質、高感度、低価格で、中でも低価格を打ち出すとよく売れた。他社よりも価格優位性があるということが、過去の成功体験になっていた」と語る。

この“勝利の方程式”に従って特価商品を準備してチラシで売り出したが、消費者の反応は薄まるばかりだった。「(その頃は)日本の消費傾向が変わり、これまでの大量生産、大量消費の時代が終わっていた」と鈴木社長は振り返る。

業績を立て直そうと、店頭には保守的な商品が増えていった。本当は攻めた面白い商品を売りたいが、トライアンドエラーをやる余裕がなかった。その結果、売り場から客足が遠のく負のスパイラルに陥ってしまった。

そこで、鈴木社長は2020年の就任直後から行動に移したことが2つある。1つ目は商品部の会議に出ないこと。「本来はお客様のための商品を作る会議が、社長のための会議になってしまう。役員の顔色をうかがって商品が保守的になる」と理由を語る。年2回の方針会議は「仕方なく出ている」(鈴木社長)が、商品打ち合わせなどの会議には一切出ないという。

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