しまむら「20代客」を1年で急増させた改革の中身 売り場の"聖域"が消えてバイヤーに起きた変化

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しまむらが展開するブランド
主力のしまむらに加え、子供服のバースデイは地方郊外、ヤングカジュアルのアベイルは都心部が好調で出店を進めている(撮影:風間仁一郎)
「ファッションセンターしまむら」や「アベイル」など、低価格の実用・ファッション衣料品店を全国展開するしまむらが好調だ。前2023年2月期の売上高は6161億円となり、これは「ユニクロ」のファーストリテイリングに次ぐ国内アパレル2位となる。純利益は380億円と2期連続で最高益を更新した。
しかし、ほんの数年前は「値引き一辺倒」の商売から抜け出せず、業績は下降線をたどる一方だった。そんなどん底からどう回復したのか。2020年2月にしまむらの社長に就任した鈴木誠氏に、復活の背景と今後の戦略について聞いた。

しまむらの商売を見つめ直した

――業績が低迷していた2020年2月、しまむらの社長に就任しました。どう立て直しを図りましたか。

私が社長に就任する直前の2018年2月期から2020年2月期まで、当社は3期連続の減収減益となった。私が経営を引き継いだ際もコロナ禍でタイミングは悪かったが、それを契機に私たちの商売を見つめ直すことができたと思う。

まずは、しまむらの「原理原則」を徹底するため、中興の祖である藤原秀次郎相談役に取締役へ復帰(2020年5月)してもらった。私たちの商売の原理原則とは、突き詰めれば「お客様の要望を掴む」こと。しまむらは、ひとえに商品力でここまで成長してきた会社だ。

――「商品力」というと。

商品政策の第1の柱はプライベートブランド。しまむら事業では「CLOSSHI(クロッシー)」というベーシック衣料や寝具などを展開するブランドがあるが、これをお客様が要望する形に近づくよう、サプライヤーと一緒に作り込んだ。

鈴木誠(すずき・まこと)1965年生まれ。日本大学経済学部卒業。1989年しまむら入社。2004年物流部長、2011年取締役。主に物流、システム開発を統括。2018年企画室長などを経て2020年2月から現職(撮影:風間仁一郎)

第2の柱は、しまむららしいトレンド衣料の部分。お客様を飽きさせない、バラエティーに富んだ商品を作るため、サプライヤーとの共同開発ブランドを強化している。このブランド群も過去は改廃を頻繁に行っていたが、それぞれコンセプトを確立して育てる方針に転換した。

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