しまむら「20代客」を1年で急増させた改革の中身 売り場の"聖域"が消えてバイヤーに起きた変化

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――今2024年2月期は、3期連続で最高純益を更新する見通しです。どうやって勢いを持続させるのでしょうか?

今期計画(売上高6350億円、営業利益545億円)を無事に達成できたら、2030年に売上高8000億円以上、営業利益率10%が次の目標だ。既存の国内5事業と、オンラインストアを軸に達成を目指す。新店は毎期50~60店出しつつ、既存店も最低2~3%成長させる。

成長戦略の1つは都市部出店だ。実は2015年頃にも一度挑戦したが、売上高予想が高すぎたために、コストとの釣り合いがとれず収益が良くない店が多かった。今回は商圏人口や競合シェアなどデータを基に割り出し、かなりシビアな予想を作っている。今年2月には店舗開発担当の役員も新任登用した。これから家賃などのコストを含めて採算のとれる店舗を増やしていくつもりだ。

一部店舗ではキャンプ用品やゴルフ用品などを扱い、品ぞろえを拡充している(撮影:風間仁一郎)

しまむら事業については、新店の売り場は1300平方メートルと従来より3割程度広くしている。新しいカテゴリーとしてゴルフ用品や健康関連、キャンプ用品などを取り扱うことで、地域シェアを広げながら既存店を積み上げることを考えている。

成長事業のアベイルやバースデイも伸びしろがある。ヤングカジュアルのアベイルは都市部店がとくに好調。ベビー・育児のバースデイは地方郊外に強く、衣料品から食料品までワンストップで買えるのがウリだ。それぞれ強みは伸ばしつつ、手薄の地域にも出ていきたい。

総合スーパーのシェアを取っていく

――しまむらのライバルはどこになるのでしょうか。

アパレル専門店のユニクロやワークマンはライバルではあるが、競合先としてはあまり考えていない。消費者も使い分けているのではないか。一方、イトーヨーカドーやイオンといった総合スーパーで売っている総合衣料品が、本来われわれの一番の競合相手。今は総合スーパーの不振が続いているので、このシェアを取りこぼさないよう確実に取っていきたい。

日本は長くデフレが続いていたが、昨年からインフレ基調になった。価格優位性が武器の当社も、商品の一点単価が8%程度上昇している。日本のお客様は「価値と価格」に厳しい。これからも価値ある商品を作り続け、お客様の支持を得られるように努めたい。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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