前原誠司氏「安全保障で政界再編は起こりうる」 憲法改正は「第9条」問題を優先事項にすべき

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塩田:岸田政権はなぜ逃げるのですか。逃げた後、何をやろうとしているのでしょうか。

前原誠司(まえはらせいじ) 1962年京都市生まれ。京都大学法学部卒業。1993年衆議院総選挙に初当選。民主党代表、国土交通大臣、外務大臣、国家戦略担当大臣などを歴任。現在、国民民主党代表代行、党安全保障調査会長を務める

前原:理由は恐らく衆議院総選挙。その前は逃げておきたい。選挙の後にやるのでしょう。ですが、選挙は常に来ますから、結果、今までの繰り返しのように、また借金が増えるという構図になるのでは、と心配しています。

増税については「消費税は触らない」と言っています。「その代わりに、社会保障費の負担増」と言っていましたが、批判が出たら、「それもやらない」と言い出した。財源を何で手当てするのか、非常に不明確ですね。

塩田:もしかすると、財政規律優先といわれている財務省が、最終的に消費税増税の実現を、という方針を示していて、それが壁となり、結論が出ていないということでは。

前原:財務省はこの話には手を出していません。これは政治マターです。政治案件だとわかっているので、今は何の動きもありません。財務省は「自分の案を持ってこい」と言われたら出しますよ。間違いなく消費増税を言ってくると思いますが、それは見えない。

岸田首相の「改憲論」は本気ではない

塩田:岸田政権は1年9カ月になります。首相のリーダーシップをどう見ていますか。

前原:2021年9月の自民党総裁選挙から見てきて、ご本人が一番やりたいのは「新しい資本主義」だった、と私は感じました。就任前、「新しい資本主義」とは、行き過ぎた株主資本主義を見直すということで、その流れは所得倍増だったんですが、今、それもない。

自民党の人たちは今、自分たちがリーダーシップを持って何かをやるというよりも、各省から上がってきた積年の宿題をやっている感じです。防衛力強化はいいですけど、言ってみれば、これも、もともとやりたいとは一つも言っていなかったことですね。

塩田:岸田首相は政権獲得となる2021年の総裁選で「憲法改正を在任中に実現します」と言って、それは今も取り下げていません。現在の安全保障環境の問題と岸田首相の改憲論はどう結びついていると見ていますか。

前原:私は正直言って、結びついていないと思いますよ。憲法改正を言っているのは知っていますが、魂がこもっていないと思いますね。改憲はすごく政治的なハードルが高い。しかも政権は自公連立が軸です。連立を解消してでも、維新や国民民主に呼びかけて改憲をやるということができるかどうか。そこまでの腹はないと思いますね。

改憲を言っているのは、自民党の党是でもあるし、自民党の支持者、つまりは安倍さんが言っていた括弧付きの岩盤支持者をつなぎ止めるためのメッセージだと思いますね。

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