前原誠司氏「安全保障で政界再編は起こりうる」 憲法改正は「第9条」問題を優先事項にすべき

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塩田:憲法問題を考えるとき、日本の安全保障との関係で改正を要するとお考えの点は。

前原:私はとにかく憲法改正の1丁目1番地は第9条だと思っています。憲法が施行されたのは1947年5月3日、自衛隊ができたのは1954年7月1日で、7年のブランクがある。つまりは第9条の第1項、第2項を読むと、自衛隊をまったく想定していません。

自衛隊を前提とした憲法にすべき

憲法は「陸海空その他の戦力はこれを保持しない」と書いてあるから、自衛隊は軍隊ではないとか、戦力ではないとか、すべて詭弁で来ているわけです。その意味で、自衛隊を日本の正式な組織として認めるのが大事なことで、第2項に書くのか、あるいは新しく第3項として加えるかは別にして、自衛隊を前提とした憲法にすべきだと私は思います。

国の基本法である憲法の安全保障の部分が、7年間のブランクの中で、勝手に 180度、解釈変更されているわけです。やはり読んで字のごとくにする。立憲国家としては絶対にそうあるべきだし、やるべきだと私は思います。

ほかには、安倍さんも努力された集団的自衛権の点で、出来の悪い自衛権発動3要件の見直しだったけど、自衛権は国家の自然権です。その中には当然ながら集団的自衛権も含まれる。政策的判断で、たとえば安全保障基本法なんかを作って、集団的自衛権について、ここまでしかやらないとか、ここまではやれるという書き方をすることはあっていいと思いますけど、やはり一番のネックは憲法第9条だと私は思いますね。

塩田:自民党案の「改憲4項目」を見ますと、もちろん自衛隊明記はありますが、現実には緊急事態条項新設の議論が先行している印象です。

前原:憲法改正をどこからやっていくか。国民に最も理解が得られるところはここではないかという最大公約数が緊急事態条項だと思うんです。緊急事態が発生したときの国会議員の任期延長の問題が取り上げられていますが、現憲法には「緊急」という言葉は参議院の緊急集会しか使われていない。

これは憲法制定時にGHQ(連合国軍総司令部)の指導の下で、日本はずっと平和で行きますよという宣言なんです。ですが、今、日本の周りを見ても、そうはいかない。私は改憲の本丸は第9条と前文だと思いますけど、一番、国民の理解が得やすくて、一度、とにかく憲法が不磨の大典ではないことを国民に理解してもらうためには、まず緊急事態条項で、ということは理解しています。

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