「進撃の維新」問題議員トラブルで広がる不協和音 「東西対立」とセクハラ、暴言など問題議員が続出

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さらに、梅村氏だけでなく、言動が厳しい批判を浴びる「問題議員」も少なくない。昨夏の参院選で同党比例の目玉候補として上位にランクされて当選した元東京都知事の猪瀬直樹氏は、今年4月に審議中の大あくびやガムをかむなどの傍若無人な振る舞いで「厳重注意」となった。

それにもかかわらず、6月5日午後に開かれた参議院の地方デジタル委員会では猪瀬氏の“スマホの音”が響き、審議が一時中断する事態に。ただ、元都知事で76歳の猪瀬氏に対し、若い維新幹部は「気後れして厳しく注意できない」とされる。

鈴木宗男氏が党幹部を叱責したワケ

さらに、維新国会議員団副代表の鈴木宗男参院議員は、ロシアのウクライナ侵攻をめぐってロシア寄りの発言を繰り返し、大型連休中のロシア渡航も計画。結果的に党幹部が阻止したが、鈴木氏は5月10日の党会合で、馬場代表や藤田幹事長に対し「国益はあなたの100倍以上、考えて動いてきた」などと公然と批判した。

鈴木氏は参院当選の前は衆院当選8回で閣僚経験も重ねた75歳のベテラン政治家。だからこそ上から目線で「国益優先」と馬場氏らを叱責したわけで、“格上”の人物には言い返せない幹部の指導力不足も露呈した格好だ。

さらに、党の中核を占める大阪出身議員と東京などを地盤とする非大阪組との確執も表面化。音喜多氏ら東京組は大阪維新所属の地方議員の不祥事に厳しい対応を求めるなど、党の路線や政策をめぐるいわゆる「東西対立」も党内の不協和音を拡大させている。

しかも、維新創始者の橋下、松井両氏の政界引退後のメディアなどでの言動も、国政政党化への障害になりかねない状況。両氏はいまでも「維新のシンボル」とみられているが、ここにきてのテレビやツイッターなどでの両氏の発言に、党方針との食い違いが目立つからだ。

一部メディアは、次期衆院選以降も維新の快進撃が続くことを前提に「馬場内閣誕生へ」などとはやし立てる。馬場氏自身も「組むなら菅さんや萩生田さん」「岸田さんはアカン」などと悦に入っているとされるが、政界では「調子に乗っていると、落とし穴にすっぽりはまる」(自民長老)との声が広がる。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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