「進撃の維新」問題議員トラブルで広がる不協和音 「東西対立」とセクハラ、暴言など問題議員が続出
その際、吉村氏は対応迷走について「初動に不適切な点があった」と謝罪したが、笹川氏の除名を正式決定したのは6月3日。しかも、吉村氏が要求した議員辞職を笹川氏が受け入れないという醜態に、党内からも「すべてが後手後手。党執行部は見通しが甘い」(中堅幹部)との批判が噴出した。
そもそも、橋下徹元大阪市長とともに維新(大阪維新)の創始者だった前代表の松井一郎前大阪市長が4月に政界引退を表明。これを受けた新体制は、国政政党の維新が馬場代表・吉村共同代表・辻淳子副代表・藤田文武幹事長、地域政党・大阪維新が吉村代表・馬場副代表・山下昌彦副代表・横山英幸幹事長(大阪市長)という布陣となった。
この中でいずれも40歳台で大阪維新の中核となる吉村、横山両氏は、維新結成翌年の2011年統一地方選での初当選組で、笹川氏と「同期」。このため、維新の「東京組」などから「吉村氏が当選同期の笹川氏に遠慮したのでは」(若手)との不満も出たという。
梅村議員の問題発言への対応も批判招く
この笹川問題とほぼ同時進行の形で、維新所属の梅村みずほ参院議員が、大型連休明けの5月中旬、参院本会議と法務委員会で、入管法改正に絡んで問題となっていたスリランカ人女性ウィシュマさんの名古屋出入国在留管理局での死亡をめぐって、相次いで根拠のない発言を繰り返し、当事者遺族と与野党から猛批判を浴びた。
梅村氏の本会議などでの発言は「支援者の一言が、ウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながった恐れも否定できない」という内容。
怒り心頭で根拠をただす遺族側に、梅村氏は5月16日の参院法務委員会で「可能性は否定できない。ハンガーストライキによる体調不良で亡くなったかもしれない」と強弁。遺族らは「事実無根で死者への冒瀆」と猛抗議し、与野党からも「事実に基づいて発言すべきだ」(公明党・高木陽介政調会長)などの批判が噴出した。
これに慌てた馬場代表は、5月18日に「遺族が『ひどい』と思うのは当然だ」と指摘し、梅村氏と法務委で同僚の音喜多駿政調会長が「不適切な発言」とウィシュマさん家族らに陳謝し、同日、維新として梅村氏の法務委員更迭を決めた。
しかし、これは問題が起きた5月12日から6日後で、音喜多氏はその前日の17日まで「問題提起だ。間違ったことはしていない」と梅村氏を擁護。藤田幹事長も当初は慎重姿勢で、事態の深刻化後、梅村氏を法務委から外したうえで、約2週間後にようやく党員資格停止処分に踏み切った。こうした一連の対応が「梅村氏の主張はもともと維新の考えだったのでは」との疑念にもつながっている。
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