「人への投資」に注目が集まっている。政府が掲げる「新しい資本主義」の柱の1つで、岸田文雄首相はリスキリング(学び直し)の支援などへ5年間で1兆円を投じるとしている。
人口減少と高齢化が進む日本において、企業としては社員の意欲を保ち、生産性を上げることは喫緊の課題だ。終身雇用など日本型雇用が見直される中、個人にとってもキャリアを主体的に構築していく必要性は高まっている。
そこで今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』『同(ESG編)』2023年版掲載のデータを基に、「社員のキャリア形成に熱心な会社」ランキング(プラチナキャリアランキング)を作成した。本ランキングは「長期的視点」「自律的学び」「社会への貢献」の3つの視点から評価を行っている。『CSR企業白書』2023年版(4月24日発売予定)には、本ランキングの上位250社まで掲載予定だ。
SCSKはIT系初のトップに
1位は住友商事系のIT大手SCSK(96.8点)で、昨年の2位から浮上。IT系初のトップとなった。対象を限定しないテレワーク制度のほか、許可制で就業時間内の活動も認める柔軟な副業・兼業制度も導入している。キャリアコースを複数整備し、育成特化型からマネジメントや高度専門人材を対象としたキャリアパスまで幅広い選択肢を設ける。従業員1人当たりの年間教育研修費用・時間はそれぞれ19万円・61.9時間と高水準で、人への投資に積極的な姿勢は数字にも表れている。
2位は東京海上ホールディングス(96.3点)。昨年の3位から1つ順位を上げた。同社は社員が安心して働ける環境の整備に取り組む。全社員向けのパワハラ防止研修や社外ホットラインの設置のほか、ゼロ次から3次予防に及ぶ社員のメンタルヘルスケア対策を展開している。とくにワーク・エンゲージメント(仕事に対するポジティブで充実した心理状態)の向上策などに力を入れる。
3位は生命保険大手のT&Dホールディングス(95.3点)で、昨年首位からは一歩後退。役職定年の廃止や65歳への定年引き上げを実施したほか、再就職・起業支援など定年後のサポートも手厚い。ジョブチャレンジ制度やグループ人材交流なども推進し、社員が年齢に関係なく活躍できる環境の整備に取り組んでいる。
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