今度は愛さんがツッコミを入れ始めた。結婚したのは出会ってから9カ月後の2022年1月。和人さんとは一回り以上違うが、年齢差は気にならなかったのだろうか。
「あと7、8歳若かったら子どもが欲しかったので気にしていたかもしれません。でも、この年齢になったら一緒にいて気楽だなと思う人のほうがいいでしょう。私は仕事上で人に気を遣っているので、家に帰ってまで気を遣いたくありません」
「オレが気を遣っているよ!」
酔い始めた和人さんの反撃は無視して、愛さんにさらに聞きたい。43歳で結婚してどんな感想を持っているのか。
ケンカはお互いを認め合っているからこそ
「(私の相手は)この人なんだな、と感じています。いろんなことを助けてくれるからです。仕事場まで車で送ってくれることもあります。体力的というよりも精神的に楽になりました。あと、私がワガママを言っても適当に聞き流してくれるのもいいですね。武田さんは我慢しているかもしれないけれど、私は楽です」
愛さんの両親は和人さんとの年齢差を心配した。しかし、実際に会ってみたら「よかったね」と祝福してくれたという。
「愛の両親は酒をあまり飲まないのですが、親戚は酒好きが多いようです。挨拶に行ったとき、『あそこの家はつまんないからうちに遊びにおいで』と言われました」
愉快そうに笑う和人さん。愛さんとの結婚に関しては強気でやや上から目線の発言が多いが、根っこのところでは自分を受け入れてもらうことを願い、常に努力しているのだと思う。結婚生活について改めて聞くと、独特な表現でこう答えてくれた。
「愛は一生懸命にやってくれています。人間、それが一番大事です。このジジイのために朝早くに起きてゴハンを作ってくれるし夜もこの時間まで付き合ってくれますから。よくやってくれていると評価しています。まあ、評価できないこともいっぱいありますけど。酔っ払って家の中を徘徊したり」
徘徊なんてしてないよ、もう!と愛さんが嬉しそうに怒っている。言いたいことを言い合えて、認め合っているからこそ仲良くケンカできる。そして、一緒に飲むお酒が妙に美味しい。今夜は晩婚さん夫婦に乾杯、である。
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