北陸出身の愛さんは美容師として長く東京で働いている。結婚願望はあったものの、恋愛はうまくいかないことのほうが多かった。「会話が続く」相手を求めていたため、年齢を重ねるとともに婚活にも苦戦。きちんと働いている会話上手の30代40代男性は都会の婚活では売り手市場だからだ。
美容師なので土日休みではない。夜の仕事の女性向けに髪をセットする仕事も続けていた。それでもたまには憂さ晴らしで飲みに行きたい。出会いを求めずに訪れた酒場に和人さんがいた。
結婚した今でも名字で呼ぶ
「武田さんとはほとんどしゃべらなかったので第一印象はほとんどありません。嫌じゃない、ぐらいです。また同じ店で会ったら一緒に飲むぐらいは構わないし、LINEで誘われても嫌だったら断わればいいだけです」
結婚した今でも和人さんを名字で呼ぶところが興味深い。年齢差があるので遠慮があるのだろうか。ちなみに和人さんは「愛」と下の名前で呼び捨てである。
和人さんの行動は早かった。すぐにLINEで「ご飯を食べに行こう」と愛さんを個別に誘ったのだ。酒場で会ってから3日後の初デートだった。
「その後は夜の仕事が入っていたので、たまたまです。ゴハンぐらいはいいかなと思って行きました」
と淡々と話す愛さん。照れ隠しなのでなく、本当に「誰とでもゴハンぐらいは付き合う」きさくな人柄なのだ。ただし、改めて和人さんと2人で会ってみると「よくしゃべってくれて楽しい」と感じたと明かす。その3日後には交際することになり、同じ月の下旬には愛さんが一人暮らしをしている賃貸マンションで半同棲をするようになった。
「私の家のほうが会社まで近いし、夜は私がゴハンを作ってくれるから、という理由です。ひどいですよね(笑)。でも、武田さんが来ることが嫌ではありませんでした。彼の家には『部屋が汚いから』と入れてくれないので(実は既婚者なのかと)疑いましたけど」
和人さんは都内で家族向けの分譲マンションを購入して一人暮らしをしていた。結婚した今ではその家で愛さんのために掃除と洗濯を一手に担っているが、「自分のためにはキレイにできない」タイプらしい。
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