スズキ、上り調子でも「減益計画」を打ち出す真意 足元の利益よりも成長投資を急ぐ事情とは

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インドは、そもそも市場自体の成長が著しい。インド市場全体の2022年(暦年)の販売台数は前年比25.7%増の472万台で、同5.6%減の420万台だった日本を抜き世界3位に浮上した(1位の中国は同2.1%増の2686万台、2位のアメリカは同7.8%減の1390万台)。

自動車業界は、半導体不足による生産制約が続いており、2022年の全世界の新車販売台数は同1.4%減の8162万台と低調だった。にもかかわらずインド市場の伸び率がこれだけ高いのには主に2つの理由が考えられる。

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1つ目の理由は、製品の特性の違い。欧米や日本など先進国向けの新車は安全運転支援機能が標準装備されるなどスペックが高い。そのため高性能な半導体を多く必要とし、部材不足の影響が大きくなる。それに比べれば、インド向けの新車は生産制約が小さい。

2つ目の理由は、インドで事業を展開する自動車メーカー各社が、人口増加や経済発展が見込めるこの有望な市場に、優先的にリソースを投入しているとみられることだ。すなわち、それは競争が厳しくなっていることを意味する。

ライバルの攻勢でシェアは低下

実際、スズキはインドで販売台数を大きく伸ばしたにもかかわらず、調査会社マークラインズによると2022年の乗用車市場でのシェアは前年の44.3%から41.6%へと下がった。現代自動車や起亜自動車などの韓国勢が、インドでも人気が高まっているSUV(スポーツ用多目的車)の新型車を次々に投入して攻勢をかけている。

また、インド国内メーカーのタタ・モーターズやマヒンドラ&マヒンドラもより力を付けている。スズキは2022年度後半以降にSUVのラインナップを増やし、シェアの取り返しを図っている。

インフラ整備などで大きな課題があるインドは、先進国に比べるとカーボンニュートラルへのシフトは遅れている。だが、大気汚染が深刻で政府は環境対策を強めつつあり、インド市場でも電動化の重要性が増している。

スズキは2024年度にインドでの電気自動車(EV)投入を予定する。ただ、ライバルは先を行く。タタは3年前の2020年にインドでEV販売を開始し、2022年には約3万台を売り上げた。現代やマヒンドラも既にインドでEVを展開しており、一層の拡大加速を目論む。

有望市場ゆえの競争激化や、電動化の急進といった〝ゲームチェンジ〟の予感が、スズキの危機感の背景にあるようだ。

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