「法令遵守」的な対応が事態を悪化させる--『組織の思考が止まるとき』を書いた郷原信郎氏(弁護士、名城大学教授)に聞く


──この本は、検察の不祥事問題から書き始められています。

検察という組織がまさに社会の環境変化に適応できなくなっている。社会の信頼を失うような問題を起こし、しかも、その問題に対する危機管理対応、つまりクライシスマネジメントに失敗して、組織としてますます窮地に追い込まれている。この検察の不祥事対応を見れば、今、日本の組織において、どこがどう問題なのかがはっきりと見えてくると考えた。

──ご自身が特捜検事の経験をお持ちです。

検察による今回の不祥事問題への組織対応での誤りで、さらに問題なのは、現在の検察内部で国民の信頼をいっそう失墜させる結果となっていることを認識している者が、少数派なことだ。

これまで「刑事司法の正義」を独占してきた検察は、世の中が自分たちの組織を中心に動いているかのような、「天動説」的な考え方から抜け切れない。そのため、この危機的な状況の本質を認識することができず、思考が停止してしまっている。

──検察をめぐる問題の構造は大相撲の世界とも似ている、との指摘があります。

大相撲は相撲部屋中心、力士中心の世界であり、それをまとめてきた相撲協会という組織が、世の中の環境変化に適応できなくなっている。

社会の中で相撲をどう位置づけていくのか。まずこの点を明らかにすることだ。プロレスやボクシングのような単なるスポーツでなく、伝統的な国技として、日本の文化として守り育てていくとすれば、相撲の世界の本質を明確にしたうえで、それに応じて組織の体制、あり方を抜本的に見直す。そうしないかぎり、信頼回復はできないだろう。

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