「法令遵守」的な対応が事態を悪化させる--『組織の思考が止まるとき』を書いた郷原信郎氏(弁護士、名城大学教授)に聞く


 ところが、政府は、従来型の危機や災害を想定して作った組織で対応しようとした。だから、対応能力が本来必要とされる数十分の一でしかない。数十倍の対応が社会から求められているにもかかわらず、それに対応できるものになってない。

──具体的には。

被災地からの情報を、都道府県、市町村という従来の自治体組織を通じて官邸や内閣府がくみ上げて、それを支援・救援する。そして、全国のほかの地域の自治体や企業、機関にも要請する。情報の伝達経路が限られているが、実際には多岐にわたる膨大な情報を、きめ細かく支援・救援をしてくれる人たちや機関に伝えないといけないはず。旧来ルートでは完全なボトルネックを作ったうえで動き出したも同じだった。同時に、その情報伝達経路の大震災での壊滅など想定していないため、緊急な要請ほど声が上がってこない。

──どうしたらいいのでしょう。

既成の発想にとらわれないで、社会の要請をセンシティブにとらえて、災害時なら災害時の要請に応えられる組織、システムを、後手に回ったといっても緊急に作っていく。そこではコラボレーションが大事だ。つまり、つねに変化にセンシティブに反応してコラボレーションができる組織体制にしておく。

──平時も同様ですか。

繰り返して言うが、コンプライアンスとは、さまざまな社会環境の中で、組織がそれに適応して、社会の要請に応えていくこと。重要なことは、環境をしっかり把握し、変化に対して敏感であることだ。それが、社会環境の変化に適合していくことにつながる。

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