ああ勘違い!「年収130万円の壁」で損する人の誤解 扶養の基準と社保の加入基準は全くの別モノ

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適用拡大の社会保険加入基準は下記の4つです。

①週所定労働時間が20時間以上あること(原則会社と締結した雇用契約書等から判断)
②月額賃金が8.8万円以上であること(残業代や通勤手当等一部の手当は除く)
③2カ月を超える雇用の見込みがあること(更新見込がある場合は「雇用の見込みがある」と判断される)
④学生でないこと(夜間学生など一部例外あり)

②の月額賃金8.8万円を年収に換算すると約106万円となることから、よくメディアなどで年収106万円の壁といわれます。このように、同じ働き方をしているのに、勤務先の会社の規模によって、社会保険に加入する人と加入しない人が出てくるのですが、社会保険の加入にはデメリットとメリットがあります。最後に、社会保険加入のデメリットとメリットを解説します。

4.社会保険加入のデメリットとメリット

社会保険に加入すると健康保険料と厚生年金保険料が給料から控除されることになるので手取りが減ってしまいます。その控除額は少なくないので、家計のやり繰りがさらに大変となり、デメリットとなる家庭もあるでしょう。

概算ですが、年収106万円だと健康保険料の負担は月額約4400~5200円、厚生年金保険料の負担は月額8052円となりますので、手取りを減らさないようにするのであれば、その分、労働時間を増やすといったことをしなければなりません。

社会保険に加入すると年金・医療でメリットが

一方で、社会保険に加入すると年金・医療でメリットがあります。まず、年金については、厚生年金に加入することで将来受け取る年金額が増えます。年収106万円の場合、その額は年額5400円×終身となり、長生きすればするほどお得です。また、厚生年金加入中に病気やケガ等で一定の障害を負ってしまったときは、障害厚生年金の支給が受けられ、厚生年金に加入していないときと比べて保障が手厚くなっています。さらに、厚生年金に加入することで遺族厚生年金が受け取れるので、こちらも厚生年金に加入していないときと比べて保障が手厚くなります。

次に、医療についてですが、健康保険に加入することで業務外の病気やケガ等で仕事を休んだときに最長1年6カ月間、給与の3分の2相当が受け取れる傷病手当金や、出産のために会社を休んでいる日(産前42日・産後56日)に、給与の3分の2相当を受け取れる出産手当金があります。また、加入する健康保険組合等によっては、高額になった医療費を補助してくれるといった付加給付を実施しているので、一度所属する健康保険組合のHPをチェックしてみてください。

このように社会保険加入には複雑な3つの壁があり、社会保険加入によって手取りは減るけど保障は手厚くなるのが理解できたのではないでしょうか。「壁」を正しく理解して後悔のない働き方を選択していただきたいと思います。

和賀 成哉 社会保険労務士法人大槻経営労務管理事務所 OS局局長

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2007年11月に不動産業界から転職して社会保険労務士法人大槻経営労務管理事務所に入所。入所以来、主に5000名超の大企業を中心にアウトソーシングサービスに従事し、2016年1月 大規模法人アウトソーシング事業部の部長に就任。
2017年3月 業務執行役員に就任。2021年4月 OS局局長に就任。人事担当者向けの労務講座「オオツキ塾」の講師や管理職研修の講師も行う。

 

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