東日本大震災の復旧・復興財源、バラまき凍結に加えて歳出入の抜本改革を急げ
所得税増税か消費税増税か
増税の方法を整理すると、増税の税目は所得税・法人税か、消費税か、あるいはまったく新しい税を創設するのか、また、方法は時限的か、恒久的か、といった点に分けられる。
最も安定的で財政再建にも効果があるのは、消費税率の恒久的な引き上げだろう。ただ、消費税に関しては、6月をメドに社会保障との一体改革に関する結論をまとめる予定であり、震災復興だけを先取りして増税を検討するのは難しい。そもそも今回の震災にかかわらず、消費税の恒久的な増税がいずれ必要なことは明らかである。消費税については、震災復興に関係なく、引き上げの時期や幅を真剣に検討すべきだ。
一時的な復興財源としては、所得税や法人税の時限的な増税が適切だ。所得税の負担は累進的であり、高所得者を中心とした被災地への“寄付”という理屈も立てやすい。
さらに、原発事故に伴う費用も考えなければならない。これについては、通常の復旧・復興費用とは性格が異なるため、別の財源を確保すべきとの意見が多い。慶大の土居教授は、「電力消費量を抑制するためにも、東京電力に対して電源開発促進税を増税したらどうか」と提案する。電源開発促進税は、電力会社の販売する電気にかかる税金で、価格に上乗せされるので、消費者が負担することになる。その際、減資など東電の株主責任、金融機関の貸し手責任、東電役員の報酬削減なども合わせて検討する必要があろう。
加えて、復興財源探しで提案したいのは、歳出構造の抜本的見直しという視点である。歳出が税収の2倍を超え、国債発行などで賄う一般会計の現状は、どう見ても異常だからだ。