スカイマーク「組合軽視」が招いた一触即発の事態 パイロットの争議行為で通常運航にあわや支障
「事務所の提供やチェックオフなど、組合設立時にはよくある要求だ。またホテルの改善についても、宿泊が多いパイロットは、ゆっくり休めるホテルにしてほしいという要求は多い」。長年労務畑を歩んできた航空会社の元幹部社員は、スカイマークの要求についてこう解説をする。
翌4月5日、乗員組合から会社側に団体交渉の申し入れがあった。4月17日に団体交渉を開催するよう求めている。
組合が提示した議題は3点。①賃金について、②組合の今後の活動について、③4月4日に提示した要求についてである。会社側には、洞社長、人事担当取締役の西岡成浩氏、総務部長の3名の出席を求めていた。
会社側が組合に示した回答は「ゼロ回答」
対する会社側は、対応など調整に時間がかかるとして、団体交渉を先送りにした。その後の会社側の対応によって、両者の間には溝ができたようだ。
5月10日に開催された団体交渉で会社側が組合側に示した回答は、組合の要求には応じない「ゼロ回答」。加えて、その場に洞社長と西岡氏の姿はなかった。この対応に組合は納得がいかなかったため、団体交渉は決裂。同日、組合は争議権を確立したとみられる。
「交渉の場に出席をしないという対応は誠実ではなく、経営がとるべきではない悪いパターンの労務姿勢。協議に応じて、回答できない理由などをはっきりと伝えることが重要だ」と先述の元幹部は指摘する。
乗員組合は会社側に5月21日から2つの争議行為を行うと通知した。
1つ目は、規定の運航スケジュールからの変更に応じないこと。パイロットは運航便の変更やパイロットの病欠などで、スケジュール変更をすることが多い。それに応じないということは、通常運航ができなくなってしまう可能性があるということだ。
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