精神科で10年働く看護師が使う「心をほぐす言葉」 どうすれば、子どもの心をゆるくさせられるか

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これは「お寿司最高かよ」の「おびやかさない」にも通ずることです。子どもってまじめすぎる大人や立派そうに見える大人には声をかけにくいんですよね。以前の私は子どもたちに全然近づいてもらえませんでした。今は仕事中にぼーっとしたり、ヘンなことを言ったりしてほどよくゆるんでいるので、子どもたちに「ひまそうだね」と話しかけられます。子どもからしたら、「ひまな人がいるから、かまっただけ」と相手のせいにできるんです。会話が始まるよいきっかけになっています。実際、何気ないことから会話が広がり、「じつは今しんどくて」などの声を拾えるようになりました。

ユーモアは相手に関心を示すサインのようなもの

入院している子の親御さんにも外泊の際に、コミュニケーションの手段としてユーモアの活用をお伝えすることがあります。「お子さんが家のご飯を食べられたら、『こんなに食べられるなんて今日はもうお祭りね』とうれしそうに言ってあげるといいですよ」など、子どもがしたこと・できたことにユーモアのある言葉を乗っけていくことを勧めています。ただ、突然テンション高くヘンなことを言うと警戒されることもあるので、最初はその子を巻き込まず、独り言っぽく言うといいです。大事なのは、「あなたに関心があるよ」という事実を残すことなんです。

人にユーモアを使うときは、自分がゆるくなるだけでなく、相手の心をどうゆるくさせられるかと、その人のことをたくさん考えると思います。だからユーモアは相手に関心を示すサインのようなもの。そう考えると爆笑を狙う必要はありません。私もおもしろさより、「大人が自分に関心を向けた」という記憶が子どもに積み重なることを意識してユーモアを用いています。

私が接する子たちは、ほとんどがつらい思いを経験しています。過去は変えられませんが、私はすこしでも子どもの過去への認識を変えていけたらと思っています。「あのときつらかったけど、ヘンなことしていつも私を見ている大人がいたな」と、将来子どもたちが思い出してくれたらうれしいです。

――ありがとうございました。

(聞き手・本間友美)

【プロフィール】子どもの精神科看護師@こど看(こどかん)
看護師資格取得後、大学病院の内科に勤務するが、理想の看護師像と現実のギャップに悩み、1年で離職。3カ月間のひきこもりののち、別の病院の児童精神科へ転職。現場経験を活かし、子どもへの関わり方をSNSで発信する。
Twitter:@kodokanchildpsy

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