精神科で10年働く看護師が使う「心をほぐす言葉」 どうすれば、子どもの心をゆるくさせられるか
「おびやかさない」は、子どもを危険にさらさないことです。そんなのあたりまえだ、と思うかもしれませんが、子どもをかんたんにおびやかせてしまうのが大人です。たとえば「(私に)そういうことを言うんだ?」という一言もおどし文句の1つ。「みんなやっているんだから」と苦手なことを強要するのも子どもには恐怖でしかありません。大人の立場を利用して子どもを怖がらせないように気をつけています。
「すぐに助言しない」は、助言のタイミングに気をつけることです。子どもが課題を見つけて、自分なりに考えて行動したあとに、いっしょに改善点を考えるのはいいと思います。でも、子どもが課題に向き合っている途中で口をはさんではいけない。「もっとこうしたほうがいいよ」、「それやっちゃまずいでしょ」などの言葉は、のどまででストップです。
非難はしない
「叱責しない」は、叱っちゃダメということではありません。子どもが危険な行動をしたときは叱る必要があります。では「叱る」と「叱責する」はどうちがうのか。後者には責める要素が入っていると私は思います。だから「叱責しない」は失敗を非難しないということ。何回か失敗しても「何度同じことをするの」などと、子どもを責めることがないように気をつけています。
「最後まで話を聞く」は、意外と難しいです。大人は子どもより経験を積み重ねている分、子どもの言うことをさえぎって批判してしまう。「いや、でも、だから」とつい言ってしまいますよね。ここで意識するのは、子どもは成長途中であるということです。子どもは今ある力で話しているだけのこと。それを理解するのが大事です。
「意向を軽視しない」は、「どうせ話してもムダ」という子どものあきらめを防ぐために意識しています。大人は子どもが自分の価値観から外れたことを言うと否定的な反応をしがちです。
たとえば、子どもが「将来ユーチューバーになりたい!」と言ったとき、「それはちょっと……」と返すなど。このような反応を続けていたら、子どもは大人に話をしなくなってしまいます。意向を受けとめて、「大人に相談するのも悪くないな」と思ってもらいたいですよね。
「子どもが使う言葉を使う」は、子どもと共通言語を持って、おたがいに理解を深めるためです。想像してほしいのですが、人によく知らない業界の専門用語をバリバリ使って話されてもわからないですよね。それと同じで、子どもに大人の世界の言葉で話しても通じません。だから子どもの世界に関心を寄せて、子どもの言葉を吸収するんです。知っている言葉で話してもらえると子どもは気分がよくなってたくさん話してくれます。