今回の「日本株大相場」はまだまだ先がありそうだ 今の雰囲気は1988年の秋ごろにかなり似ている
その後、日経平均は前年2月、11月に続くNTT株の「第3次放出」(1988年10月)などで個人投資家の買い意欲が増し、再び年初来高値を取ることになる。
忘れもしないこの第3次放出日(1988年10月28日)は、証券アナリストのスキルアップの研修日とぶつかり、私も参加していた。ネット検索もない当時のことだ。強制的に参加させられていたアナリストたちは、とくに主催者の協会から株価情報が知らされるわけでもない。そのため、「今NTTの株価はどうなっているんだ!」「なんでこんなときに研修するんだ!」という不満と、そのときの落ち着かない仲間たちの雰囲気をよく覚えている。
平成バブル時には「さらなる上昇」があった
この1988年9~10月あたりが、今年4月の雰囲気に似ている。まったく同じというわけではなく、当時は「円高は株高」、今回は「円安は株高」だ。
高安の違いはあるが、当時は今の「円安効果」を上回る大きな力が発揮された。当時は「円高」だけでなく、「原油安」「金利低下」も加えた「トリプルメリット」と言われた。そして、日経平均はその後、約14カ月をかけて、1989年末の3万8915円まで上がっていくことになる。
「平成バブル」という言葉は、まさに終わってから名づけられただけで、そのときには不安も何度となくあった。あのときを思い出すと、「今の相場は始まったばかり、これからが本番だ」という強い感覚がある。
前回も書いたとおり、目先の日経平均は1990年6月7日の戻り高値3万3191円50銭を目指す展開だが、前述の感覚から言っても、これは夏相場で達成されるとみている。
繰り返すが、あの大バブル相場では、直近の安値から約14カ月もかけて高値をつけた。まだ先は長いのだ。外国人買いがひととおり済めば、個人投資家好みの個別株相場が来るはずだ。あきらめずにこの相場についていこう。
まずは、目先の上げ下げをうまくさばこうではないか。5月29日はアメリカがメモリアルデー、英国もバンクホリデーで2市場が休場だ。債務上限問題の事実上の期限は6月5日に延長され、すでに与野党の原則合意が報じられる中、日経平均は先物を織り込むだけで3万1000円を固める展開となりそうだ。
その後もアメリカの経済指標に注目だ。30日の同国の3月住宅指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、31日はベージュブック、6月1日は5月ADP全米雇用リポート、5月ISM製造業景況感指数、2日の5月雇用統計と続く。一方、日本国内では6月1日の1~3月期法人企業統計の数字はぜひ見ておきたいところだ。
先週(5月22~26日)は押し目が浅く、「買わせてくれない1週間」だったが、今週はどうだろうか。とにかく焦らず、「下げたら買い」の相場観は続けるべきだと思っている。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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