「人生ままならない人」が買い物に走る納得の理由 私たちは「コントロール感」を欲しがっている

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

左右、どちらの腕から採血するかは本当に小さなことですが、それをコントロールできるだけでも、ネガティブな感情が減少し、人は安心することができるのです。

枠がある薬のパッケージのほうが、「境界効果」で人気

ここに2つの薬のパッケージがあります。

私は現在、「行動経済学コンサルタント」として、「いかにビジネスに行動経済学を取り入れるか」、企業にコンサルをしています。

行動経済学が最強の学問である
『行動経済学が最強の学問である』(SBクリエイティブ)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

クライアントから、「商品パッケージについてアドバイスがほしい」と聞かれることもありますが、今時点で私が勧めるとしたら、左側の薬のほうです。

コンサルタントとしてのわが社の役割はクリエーティブでセンスの良いデザインを選ぶことではなく、科学的なエビデンスに基づいて「人が求めるデザイン」を選ぶこと。したがって「左がいいでしょう」とクライアントに勧めるからには、ちゃんとした根拠があります。

世界的なパンデミックが収束しつつあるとはいえ、ロシア・ウクライナ戦争は終わらず、シリアとトルコで天災が起き、景気後退も深刻です。世界情勢が不安になっているとき、人は「状況にコントロールされている」という無力感から、不安になります。

そこで参考になるのがデューク大学で一緒だったキーシャ・カットライトが卒業論文の一部として発表した「境界効果(Boundary Effect)」という理論です。

彼女の実験では、「自分以外のもの(人・状況)にコントロールされている」と強く感じている人は、ボーダーや囲み枠など境界線があるパッケージを好むことがわかりました。

左のパッケージは商品名が四角い境界線で囲まれています。その視覚効果によって無意識にコントロール感があると感じられるので、不安な人を惹きつけるのです。

パッケージデザインや広告ビジュアルは仕事の一環として注目していますが、富裕層向けのものは開放的で、境界線がしっかりあるデザインはあまり見かけません。

「景気が良くて経済が上向きだと境界線のないパッケージが売れる」という実験はないので断言はできませんが、仮説としては成り立つでしょう。

相良 奈美香 行動経済学コンサルタント / 行動経済学博士

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さがら なみか / Namika Sagara

10カ国以上にわたる国際的な行動経済学コンサルティングを展開する傍ら、日本でも執筆やメディア活動を通して行動経済学を広める活動をしている。

代表作『行動経済学が最強の学問である』(SBクリエイティブ)は18万部を超えるベストセラーとなり、日本における行動経済学の認知度を広げる大きなきっかけとなった

現在は「アフェクトの力で人々の生活をより豊かに、幸せにしたい」という信念のもと活動。

日常の中にすぐ取り入れられるアフェクト・マネジメント法を多くの人へ届けている。 

【公開中】オンライン講座「アフェクト入門講座」https://online.namikasagara.jp/affect-course/ 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事