ただ、こうした天才は時に破天荒な言動をして周囲を困惑させることが多かったようです。こうした人たちと同じ振る舞いをAIがし始めると、それはそれでちょっと怖いものがありますね。
立川談志のような笑いの天才がいる一方で、プロのお笑い芸人でさえ「すべる」という失敗をすることがあります。幸いにしてこの「すべる」という恐怖がジョークを言うにあたって人に慎重な態度をとらせます。結果的に面白いジョークが思いつかない人は謙虚になり、われわれは世界がつまらないジョークであふれかえるという光景を見ずに済んでいます。
「お笑いのプロ」が教え込んだらどうなるか
ところが、AIはそのジョークがウケようがすべろうが、恐怖を感じません。
比較的近い将来、AIによる自動翻訳、自動文章作成がさらに発達し、海外の人と自由に会話できるようになるでしょう。しかしそこで発せられるジョークは相手にまったく通用しない可能性があります。
本当に面白いジョークをAIが言うためには「そのジョークはつまらない」「これは面白い」といった評価を「笑いがわかる人間」がする必要があります。このステップを甘く見ると、人類は容赦なく「寒いギャグ」を連発してくるAIの相手をしなければならなくなり、本当のデストピアが始まるのではないかと思います。
今回AIでジョークをつくって遊んでみましたが、はからずとも『ブレードランナー』で問うていた「人間らしさとは何か」というものについて考える機会になりました。
「AIは極寒ジョークの夢を見るか?」。この地獄はブレードランナーの原作『アンドロイドは電気羊の夢をみるのか』の著者であるフィリップ・K・ディックも、想像できていなかったのではないでしょうか。
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