驚愕の感染力「はしか」40歳働き盛りが1番危ない 無料でワクチン打てる人、自費でも打つべき人

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

最初は風邪に似た症状で、38℃くらいの発熱や咳、鼻水が2〜3日続く。よく見れば口の中に白い発疹が出るものの、それに気づかなければ、はしかとの診断は難しい。

その後、一瞬熱がやや下がるのだが、再び39℃以上となり全身の皮膚にポツポツとした発疹が現れる。肺炎や中耳炎、心筋炎なども合併しやすい。周囲ではやっていると、ここでようやくはしかを疑う場合が多いが、すでに多くの人に感染させている。発疹から4~5日目くらいまでは、人にうつし続ける。

MRワクチン「無料で接種」できる人とは?

また2019年には、「はしかにかかると、さまざまなウイルスや細菌に対する免疫システムまで破壊されてしまう」という衝撃的な研究結果を、ハーバード大学が『Science』誌に発表した。

せっかく過去に獲得した、インフルエンザや水痘(みずぼうそう、帯状疱疹)のウイルス、肺炎や皮膚感染症を引き起こす細菌などに対する抗体が、一気に11〜73%も失われてしまうという。

さらに恐ろしいのが、「亜急性硬化性全脳炎」(SSPE)と呼ばれる脳炎だ。いったん治ったように見える患者の数万人に1人は、脳内に麻疹ウイルスが潜み続け、5〜10年かけてゆっくりと炎症が進行する。治療法はなく、難病指定されていて、最終的には死に至る。2歳未満、とくにワクチン接種前の1歳未満ではしかに罹った場合に起きやすいとされている。

というわけで、はしかは「なんてことない」と言える要素が皆無なので、全力で回避するしかない。個人的な予防には限界があるので、流行そのものを起こさないことで、免疫のない人を守っていくしかない。

麻疹単体のワクチンの他、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)があり、今は後者が主流だ。いずれも成人は自費だが、実は中高年男性の場合、条件をクリアすればMRワクチンを無料で打てる人もいる。

胎児に難聴を引き起こす「先天性風疹症候群」予防のため、国として風疹対策に力を入れているからだ。

厚労省は、風疹ワクチンの定期接種が女性限定だった世代、つまり1962年4月2日〜1979年4月1日生まれの男性約1500万人に対し、抗体検査を無料で行い、十分な免疫のない人にはワクチン接種も無料で実施している。

風疹単体のワクチンはもう国内製造されていないので、該当すればMRワクチンを接種する。要するに、風疹クーポンを使って検査し陰性だった人は、はしかの予防接種も無料で受けられる、ということだ。

だが……医療機関でまず抗体価を調べ、低かった人だけがワクチンを打てるとなると、2回以上医療機関を受診しないといけない。忙しい現代人には“タイパ”が悪すぎて、接種は想定通り進んでいないようだ。

次ページそれでも接種すべき人とは?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事