ギリギリを生き延びる漫画喫茶「ガリレオ」の秘密 三軒茶屋付近で唯一、なぜコロナでも存続できたか
ガリレオを愛する、30代会社員・橋本さん(仮名)に話を聞いた。
「仕事が終わって予定がないけどまだ家に帰りたくない、かといって飲みに行くような気分でもないな……というときにふらっと行って、レジ横で買ったお菓子を食べながらマンガを一気読みするのが好きでした。
『まんがの図書館』だからなのか、それぞれ個室に入るのではなく、大きなテーブルで他の人も漫画を読んだり作業をしていたりする様子が見えます。その雰囲気が居心地良くて。なんとなく他人の気配を感じながらも、それぞれの世界に集中しているというか。
『あの人あれ読んでるんだ』とか『その漫画おもしろいんだよね』とか思いつつ、静かに同じ空間を分け合っている感じのお店です。ガリレオはひとりで一息つける、大事な場所」(橋本さん)
コミュニケーションはあえてとらない
実はこれも、三田さんの心配りによるものだ。ガリレオのスタッフは、客から話しかけられた時以外は、基本的に目を合わせずに接客しているのだという。一般的な飲食店であれば常連さんとコミュニケーションをとっていくが、ガリレオはそれをあえてしない。
「毎日ここに来てくださっているお客さんにとって、私たちスタッフはノイズになりたくないんです。『いつも来てるなと思われているだろうな……』と思わせたくないからです。私たちは、そっと陰から見守るポジションでありたいんです」(三田さん)
個人には深く立ち入らず、ただ居場所を提供したい、それが三田さんの想いだ。しかし、ビジネスであるからには儲けも必要だろう。改めて客単価を上げる施策について伺うと、三田さんはこう語る。
「うちはお客さんに落ち着いて漫画を楽しんでほしいので、アルコール類の提供や持ち込みも禁止にしているんです。レジ横で、簡単なお菓子を販売しているくらいですね。それも約100円で仕入れたものを150円で売っているので、利益はほとんどありません」(三田さん)
それでも、彼女の顔つきは穏やかだ。「お小遣いで遊びに来る地域の小学生が多いので、彼らが楽しめる環境を提供したいんです。親子連れで、静かに漫画を楽しむお客さんも、少しですが増えました。薄利ですが、街の駄菓子屋のおばあちゃんのような気持ちでやっていますね(笑)」(三田さん)
三軒茶屋の漫画喫茶ガリレオの店主としての、小さな野望も聞いた。
「まだまだ知られていない漫画が、世の中にはたくさんあります。ガリレオが、漫画文化との出会いの場所になればうれしいですね。そして、小さい頃に夢中になった漫画を、大人になってから読み返しに来られる場所でありたいです」(三田さん)
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