「新田駅は、この中ではいちばんご利用の少ない駅ですね。駅の周囲もまだまだ開発の途上といったところで、できているところもあれば、できていないところもあります。東口は駅前広場が整備されていて立派ですが、西口は駐輪場がいくつも並んでいるような状況です。ところどころに空き地もあって、古い建物と再開発されてできた新しい建物が混在している。そういう町ですね」(石崎さん)
「新田」という駅名は、そのまま新しい田んぼ、つまり江戸時代になって新たに開かれた田園地帯ということを意味する。いまは獨協大学や松原団地になっている一帯も、もとをたどればそうした「新田」の地。古い地図を見れば、松原団地が完成した1960年代には、新田駅の周りはまだまだほとんどが田園地帯。それが少しずつ開発されて、いまに至っているというわけだ。
まだまだ伸びそうな駅
駅のすぐ脇には、昔ながらの飲み屋街。地元の人たちだけが通うような、そうした一角もある。まだまだ昭和の駅前らしい風景が、新田駅前には残っている。そして傍らでは再開発が進む。あと5年もすれば、駐輪場もなくなっているのかもしれない。まさに、変化の途上ある駅前である。
東武スカイツリーライン竹ノ塚―新田間
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私鉄では日本で一番長い複々線区間を走る。
外側が急行線(撮影:鼠入昌史)
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草加駅方面から竹ノ塚駅へ。高架の新線に向かって
カーブしているのがよくわかる(撮影:鼠入昌史)
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新装なった竹ノ塚駅のホーム
(撮影:鼠入昌史)
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竹ノ塚駅には鹿沼の杉が使われている場所も
(撮影:鼠入昌史)
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竹ノ塚駅の旧駅舎の跡は、こうした形で残っている
(撮影:鼠入昌史)
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竹ノ塚駅東口、ロータリーの向いには団地と
一体化した商店街が(撮影:鼠入昌史)
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かつての開かずの踏切は、こうして高架になって
姿を消した(撮影:鼠入昌史)
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竹ノ塚駅付近の高架は完成したばかり。今後、高架下に
商業施設などがオープンする予定だ(撮影:鼠入昌史)
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どことなく、昭和の下町の面影を残す竹ノ塚駅西口。
遠くには背の高いマンションも(撮影:鼠入昌史)
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谷塚駅の西口を出ると、すぐに生活道路のような
細い道が通る(撮影:鼠入昌史)
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谷塚駅西口。バス乗り場を兼ねた小さな広場が、
私鉄沿線らしい印象を与える(撮影:鼠入昌史)
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踏切はもちろんただのオブジェ。手前で一時停止の
必要はありません(撮影:鼠入昌史)
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高架下は公園に。雨の日も濡れずに子どもを
遊ばすことができる(撮影:鼠入昌史)
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高架下に駅舎が入るのはこの区間のお約束。
住宅地らしい駅前風景だ(撮影:鼠入昌史)
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谷塚駅東口には新しいマンションなども建つ
(撮影:鼠入昌史)
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草加松原は国指定の名勝で、草加市最大の観光地だ
(撮影:鼠入昌史)
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急行も停車する草加駅のホーム。ここで緩急を乗り換える
(撮影:鼠入昌史)
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草加駅前の一角。古くからにぎわってきた町らしく、
個人経営の飲食店なども多い(撮影:鼠入昌史)
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草加駅のロータリーの片隅には、高架記念の植樹も
(撮影:鼠入昌史)
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獨協大学前駅のホームは昼間も学生でにぎわう
(撮影:鼠入昌史)
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学生の利用が多い獨協大学前駅には、自動改札機
もたくさん並ぶ(撮影:鼠入昌史)
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獨協大学駅西口からまっすぐ先に獨協大学。
学生たちが行き交う町だ(撮影:鼠入昌史)
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東洋一とうたわれたマンモス団地・松原団地。建て替えが
進み、60年代の姿とは変わっている(撮影:鼠入昌史)
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獨協大学前駅東口。真新しいイメージの西口とは異なり、
飲食店などもあるエリア(撮影:鼠入昌史)
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新田駅東口。「新田横丁」と名乗る細い路地には駐輪場の
ほかに小さな酒場が建ち並ぶ(撮影:鼠入昌史)
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こちらも「新田横丁」。地元の人たちの憩いの場だ
(撮影:鼠入昌史)
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空き地が目立つ新田駅西側。古い木造家屋の向こうに
高架のスカイツリーライン(撮影:鼠入昌史)
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新田駅前にはいくつもの駐輪場。無数の自転車が
停めてあった(撮影:鼠入昌史)
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草加駅東口の「おせんさん」像と一緒に同駅の
石崎駅長(左)と竹ノ塚駅の塚越駅長(撮影:鼠入昌史)
次へ
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戦後間もない時期から、人口の増加を受けて東京の住宅地は郊外へと拡大していった。スカイツリーライン沿線では、少しずつ、北へ。今回訪れたエリアでいえば、最初に住宅地化したのは竹ノ塚駅周辺だったろう。
次いで、谷塚駅周辺へ。草加駅は旧日光街道の宿場にルーツを持つ町として古くから存在感を持っていた。マンモス団地が生まれた獨協大学前駅、そして目下開発途上の新田駅。こうして順番に巡ってくると、日本の経済発展の歩みそのものを見ているような気になれる。そうした目線で、各駅停車の旅をする。あんがい、悪くない旅である。
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そいり まさし / Masashi Soiri
週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。
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