そして続いて北に行くと、草加駅を間に挟んで獨協大学前駅である。草加駅と獨協大学前駅のおおよそ中間の東側に名勝地・草加松原がある。そういうわけで、獨協大学前駅は、「草加松原」という副駅名も持つ。
駅名の話でいうと、もともとこの駅は松原団地という駅名だった。開業したのは、松原団地が入居を開始した1962年のこと。当時、東洋一とうたわれたマンモス団地に暮らす人たちが都心に通勤するための駅。それが、獨協大学前駅のスタートだった。獨協大学前駅に改称したのは、2017年である。
「団地はいまでは建て替えも進んでいて、周囲には東武のマンションもあるんです。団地だけでも30棟3050世帯ですからね。もう本当に巨大な団地です。駅名を変えたのは、イメージアップですよね。団地という駅名よりも、学生の街をアピールしたほうがイメージがいいということだったと思います。最近ではTOBU icourt(トーブ イコート)という商業施設もオープンしています」(石崎さん)
一日中、学生でにぎわう
石崎さんによれば、実際に獨協大学前駅はまさに学生たちの駅といった雰囲気だという。大学生の暮らしは、大学の授業時間によって定まる。つまりは、高校のように全員が同じ時間に通学するようなことはなく、学生それぞれが自分の時間割にあわせてこの駅にやってくる。おかげで、駅は朝夕だけでなく、日中を通してもにぎわうことになる。獨協大学前駅は、まさにそういう駅なのだ。
団地や大学があるのは、駅の西側だ。実際に西口に出ると、まっすぐ向こうからたくさんの学生たちが歩いてくる。授業が終わったタイミングだったのか、駅に向かってやってくる。
そしてその傍らには図書館や東武ストアがあって、線路沿いの北側には松原団地の団地群。戦後ニッポンの経済成長の礎になった巨大団地と、未来を担う学生たちの交差する町。松原団地駅から獨協大学前駅への改称には、そうした歴史が集約されているのである。
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