三菱地所、大手不動産デベで「独り負け」の真因 足元の不動産市況は絶好調でも尽きない悩み
明暗がはっきりした決算だった。
5月11日、財閥系デベロッパーをはじめとする大手不動産会社の2022年度連結決算が出そろった。好調な不動産市況を追い風に、2022年度は東京建物を除く大手不動産6社が過去最高益を更新した。
コロナ禍を機に空室が増えているものの、オフィスビルなどの賃貸事業は堅調だ。
住友不動産は10期連続最高益
住友不動産の尾台賀幸副社長は、「コロナ禍でオフィスの契約・解約は一進一退を続けていたものの、オフィスビル賃貸の利益は積み上がっており長期的に安定した収益をもたらしている。2022年度までの10期連続で純利益は過去最高を更新しており、グループ総合力を結集した成果が出た」と胸を張る。
住友不動産が2022年5月に策定した中期経営計画では、2030年度までに経常利益3000億円の実現を掲げていた。
ただコロナ禍の収束や経済活動の正常化を受けて、2027年度までに経常利益3000億円を突破すると、計画の前倒しを発表した。
また分譲マンションのみならず、ビルなどの収益不動産の販売環境も良い。足元では、外資ファンドなどによる大型取引は縮小したものの、中小規模の取引は引き続き活発だ。
複数の不動産ファンド幹部は、「金利が低く不動産の流動性が高い、安定した投資先は日本しかない。外資系ファンドの一部が大型投資を控えるような動きがあったものの、総じて国内外の機関投資家の需要は底堅い」と口をそろえる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら