都内で増えまくる「ガチ中華料理店」生き残りの鍵 日本人には辛すぎる味付けや食材にも一工夫

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とはいえ日本人にとって食べやすい料理であっても、やはり知名度がないと日本人へのリーチが難しいのが課題だ。

潮汕牛肉火鍋は、牛肉の火鍋だということが漢字から読み取れるが、蹺腳牛肉や毋米粥は牛肉料理やお粥であること以外どんな料理であるかがなかなか想像がつかない。

筆者も毋米粥を孫二娘で初めて食べたが、当日食べるまでお粥の火鍋ということを知らなかった。

『孫二娘』は店のメインの客層がすぐに日本人になる、ということは考えておらず、出店場所を日本に暮らす中国人が多い高田馬場や上野にしているそうだ。

「ゆくゆくは日本人のお客様にもたくさん来てほしいですが、まずは食べ慣れている中国人のお客様が来店してくださることを想定し、出店場所を決めました。少しずつ知名度をあげていって日本人の方にも味わってほしいと思います」と孫さん。

蹺腳牛肉や潮汕牛肉火鍋など、一度食べに来た日本人のお客さんからの評価は上々なようで、リピートしてくれる人も多いそうだ。SNSなどで日本人の間での知名度を向上させていくことが、日本人客増加のカギになっていくかもしれない。

日本人客をターゲットにしたガチ中華料理店は増える

元々は日本で暮らす中国人向けに中国で食べられている料理をそのまま提供する店が増えたことがガチ中華ブームの発端となったわけだが、同じような店が増えてくることで、『孫二娘』や『食彩雲南』のように日本人客をターゲットにした店も出てくる。

今年になってからは『食彩雲南』と同じような海鮮の蒸気蒸しを提供し始めた店や、日本人も食べやすい米線をメインに提供する店も増えている。2月にはオーストラリアで中華料理のチェーン店を展開する『天府川菜館』が米線の店、『天府李米線 TINA'S NOODLE KITCHEN』を上野にオープンさせ、今後の日本でのさらなる出店も予定している。

米線(写真:筆者撮影)

各店舗が生き残りをかけて差別化を図る中で、これまで日本人には知られていない新たなガチ中華料理が日本でさらに食べられるようになるのかもしれない。

阿生 ライター

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あしょん / Asheng

東京で中華を食べ歩く会社員兼ライター。大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、ガチ中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内を中心に新しくオープンした中華を食べ歩いている。(X(旧Twitter)公式サイト

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