都内で増えまくる「ガチ中華料理店」生き残りの鍵 日本人には辛すぎる味付けや食材にも一工夫
「火鍋や麻辣燙は辛いので食べる人を選びます。羊肉もクセがあるので苦手な人がいます。中国各地の料理を食べ歩き、研究を重ねた結果、牛肉を使った辛くない中華料理なら日本人にも受け入れてもらいやすいのではないかと思いました」(孫さん)
そうした想いから始めたのが、『孫二娘』だ。
日本産の牛肉を一頭買いしていて、新鮮さがウリ。『孫二娘 蹺腳牛肉』では、たっぷり入った新鮮な牛肉と、スープが美味しい鍋料理(蹺腳牛肉)を提供。四川料理ではあるものの辛くないのが特徴だ。
また『孫二娘 潮汕牛肉火鍋』では、新鮮な牛肉を牛骨スープでしゃぶしゃぶして食べる広東省潮汕の火鍋料理(潮汕牛肉火鍋)を提供している。
蹺腳牛肉や潮汕牛肉火鍋は、筆者の知る限りでは日本ではここでしか食べることができない。Twitterなどを見ると美味しかったという日本人の口コミも多く、筆者も日本人の友人を連れていったところかなり好評だった。
さらに『孫二娘 毋米粥』では、広東省順徳発祥のお粥火鍋を提供している。
牛肉を具材として使った辛くない料理で、日本だと食べられる店はやはりほとんどない。
辛くなくて食べやすいガチ中華料理
ガチ中華といえば唐辛子や花椒(ホアジャオ)をたっぷり使った、見た目も真っ赤な麻辣料理が目に浮かぶが、素材そのものが持つ旨みを生かした料理も中国には数多く存在する。
日本に長く暮らし、日本人の好みに合わせた料理のチョイスというのが『孫二娘』の強みと言えるだろう。日本人にも食べやすい牛肉を使った「辛くない料理×日本ではほとんど食べられる店がない希少性」、というのが『孫二娘』の出店に共通しているポイントだ。
『孫二娘』と似たような戦略で店舗数を伸ばしているのが、池袋や湯島などに店を構える『食彩雲南』だ。
同店は雲南省名物の過橋米線(※米線は、ライスヌードルのこと)のほか、カニや貝など新鮮な海鮮を蒸した蒸気海鮮といった、日本人でも食べやすい「辛くない料理×日本では食べられる店が少ない希少性」で、日本人の客も多く取り込んでいる。
日本人がまだ知らない美味しい中華料理を日本人にも食べてもらいたいという思いが『孫二娘』と『食彩雲南』の共通点であり、日本で暮らす中国人をターゲットにしている店との違いでもある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら