「ついていきたい」と思われる上司、5つの習慣 「御用聞き」できるリーダーこそ信頼される

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しかし、社員は最初から心を開いてくれるわけではありません。相手が社長だから緊張しているということもあるでしょうが、基本的にはだれも、いきなり本音を話したりはしません。粘り強く、何度もアプローチを続けるのが上に立つ人の大切な役目です。すると、だんだん困りごとが出てくるようになります。

電球が切れたので換えてほしい。

排水口が臭う。もう3カ月も前からお願いしているのに対処してくれない。

すると私は、その場で関係部署に電話をかけて対応を依頼します。

社長がそんな細かなことまでする必要はない、という声も聞かれました。しかし私はやめなかった。なぜなら、社長が現場の声を聞いて直ちに動くことで、自分たちのことをきちんと気にかけていると知ってもらいたいからです。さらに本来の担当者にも、私の代わりに同じことをしてほしいと思うからです。

もしその困りごとをその場で解決できなくても、必ずあとで状況を伝えるようにしていました。もちろんすべての要望は聞けません。その場合でもきちんとできない理由を伝えるようにしました。これは個別に困っている問題に対して、リーダーが本気で一緒に考えてくれているというメッセージにもなるのです。

習慣2 背景と意義を必ず説明する

立場が上になればなるほど、いかに人に気持ちよく仕事をしてもらうかというリーダーとしての役割がより重要になります。

私は指示やお願いをするとき、できるだけその背景にある意図や、意義を説明するように心がけていました。

A:「このデータ、前期、前々期と比較して表を作って、30部コピーしておいて」
B:「このデータ、明日の○○ブロックの店長会議で使うので、前期、前々期と比較して表を作ってほしい。店長さんたちを元気づけるために伸びが強調できるようなグラフもつけておいてください。みんな喜ぶだろうから。今聞いている参加者は30名だけど、少し増える可能性もあるから2部ほど予備もコピーしておいてね」

AとB、しゃべる時間の差はせいぜい10秒。

しかしBのほうは、自分が与えられた仕事が持っている意味、それがどういう形でビジネスにかかわっているのかを理解しやすいはずです。

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