ココカラ統合で大化け「マツキヨ流改革」のすごみ 時価総額で圧倒、ライバルと一線画す独自経営

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2021年10月のマツキヨとの経営統合から1年半、ココカラファインが急改善している(撮影:今井康一)

「ここまで急激に改革できるとは」

ドラッグストア幹部は、ココカラファインの収益改善に驚きを隠せない。同社単体の2023年3月期の営業利益率は5.1%と、前期の2.9%から大幅に向上した。背景にあるのが“マツキヨ流改革”だ。

「マツキヨの経営指標を取り込むことで、ココカラファインの店舗経営者も数字の見方が変わり始めている」。5月12日に開催されたマツキヨココカラ&カンパニー(以下、マツキヨココカラ)の決算会見で、松本清雄社長は語った。

コロナ禍でインバウンド需要が激減し、かつて業界トップクラスだったマツモトキヨシの2021年3月期売上高は5589億円と業界6位にまで落ち込んだ。だが2021年10月にココカラファインと経営統合し、2023年3月期のグループ売上高は9512億円とトップ3争いに返り咲いた。グループの営業利益率は6.5%と業界でも突出した数字だ。

時価総額はライバルの約2倍

同じくトップ3に君臨するのは、イオン子会社のウエルシアホールディングス(HD)、そして北海道地盤のツルハホールディングス(HD)だ。3社とも相次ぐM&Aで規模を拡大してきたが、収益性を比較するとマツキヨココカラが頭一つ抜きんでる。

背景には出店地域の違いがある。ウエルシアHDやツルハHDは郊外を中心に出店しており、食品の構成比を上げることで来客数を増やす戦略を採っている。

ただし食品は粗利率が低いことに加えて、九州地盤のコスモス薬品が食品の安売りで猛攻勢をかけて業界4位へ追い上げる。中堅のクスリのアオキホールディングスも、食品スーパー買収で生鮮食品を拡充している。郊外はドラッグ業界にとって、草刈り場と化しているのだ。

一方、マツキヨココカラは人口が密集する都市部中心に出店している。食品の売り上げ構成比は約1割で、粗利率が高い化粧品と医薬品がグループ売上高の約7割を占める。トップ3で時価総額を比べると、マツキヨココカラの約1.1兆円に対し、ウエルシアHDは6530億円、ツルハHDは4993億円と、2倍近くの差をつけている(5月19日時点)。

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