ココカラ統合で大化け「マツキヨ流改革」のすごみ 時価総額で圧倒、ライバルと一線画す独自経営

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2024年3月期に向けては、インバウンド需要の復活が期待される。コロナ禍で苦戦した家賃の高い都心型店で化粧品や医薬品の販売が回復することで、さらなる改善が期待できそうだ。

松本社長は「中国人が訪れる香港の店舗と、日本国内で収集した購買データをもとに、店頭の商品を変更している。化粧品は中国の成分開示義務強化により現地で販売できない商品も出てくるため、逆に日本でしか買えない商品が売れ始める可能性もある」と予測する。

都心型店をめぐり業界再編も

インバウンド需要に火が付けば、メーカーは生産体制の方向性を見直す必要が生じる。そのため、メーカー側もマツキヨココカラとの情報共有を積極化している。時期については「足元ではまだ中国からの航空便は少ない。過度な期待はしていないが、夏頃には回復し始めるのではないか」(松本社長)とみる。

ウエルシアHDもインバウンド需要を狙い、手薄だった都市型店を獲得するために2022年6月に大阪地盤の同業コクミンを子会社化している。同社は2026年3月期に売上高1兆5000億円の目標を掲げるが、マツキヨココカラも同期に同じ売上高を目指している。さらなる規模拡大に向けて、両社ともM&Aに意欲的だ。

「マツキヨココカラは都市型店を増やすためのM&Aをするのでは」とライバルたちからは臆測の声が上がる。業界中堅をも巻きこんだ大型再編が、いつ起きてもおかしくない状況にある。インバウンド需要の本格復活を見据え、ドラッグ勢力図が大きく変わるかもしれない。

伊藤 退助 東洋経済 記者

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いとう たいすけ / Taisuke Ito

日用品業界を担当し、ドラッグストアを真剣な面持ちで歩き回っている。大学時代にはドイツのケルン大学に留学、ドイツ関係のアルバイトも。趣味は水泳と音楽鑑賞。

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