「いきなり!ステーキ」は"非常識の塊"だった

炭水化物抜きダイエットで女性も虜に

「ステーキは立ち飲みや立ち食い蕎麦とは違って、ナイフとフォークを持って肘を張って食べるから、1人あたりのスペースが80cmほど必要なんですね。1号店は20坪のスペースに40名と計算していたのですが、実際には30名ほどしか入らなかったんです」(川野さん)。

しかしその誤算は、お客の回転率が圧倒的に高かったため、挽回することができた。当初は1人あたりの在店時間を1時間程度と予想していたが、計測してみると実際にはランチで20分、ディナータイムで30分だったそうだ。もちろん、肉をカットし、焼いて提供するまでに5分程度という、シェフのスピード技も貢献しているに違いない。

1日の売り上げは平均50万~60万円

こちらペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長

店によって異なるが、1日200〜300名ほどのお客が訪れ、平均で50万〜60万円程度の売り上げとなる。例えば西新宿店のように人気の店では約90万円を売り上げるという。

また「いきなり!ステーキ」では、注文した肉をその場でカットし、焼いて供する仕組み。肉の種類、量、焼き加減などは客が好みで選ぶ。これにより仕込みにかかる時間が短縮できるほか、大きな塊から肉をカットする、目の前で焼く、という調理過程が一種のショーのような効果をもたらし、エンターテインメント性を高めているのだ。

そして「立ち食い」がもたらす効果は、スペース効率やお客の回転率向上だけではない。足を踏みしめ食すことで「なりふりかまわず、本能のままに肉を食べる」という感覚が高まるのだそうだ。

「女性のお客様は『テーブルにおしとやかに座ると、肉を大量に食べるのが恥ずかしい気がするけれど、立ち姿勢のほうがかえって肉をガツガツ食べても違和感がない』とおっしゃいます」(川野さん)。

その言葉を裏付けるように、女性の割合は意外に高く30%程度だという。高級レストランのように格式張ったおしゃれをする必要もないが、「普通におしゃれをしたOLの方もいらっしゃいますし、その隣には工事の作業服の人が違和感なく並んでステーキを食べているんです」(川野さん)とのこと。さまざまな立場の人が「肉を食べる」というただ一つの目的に邁進する、不思議な空間が醸成されているようだ。

目の前で肉の調理ショーが繰り広げられるなか、客が一体となり、ワイルドに肉にかぶりついている……そのライブ感が食欲中枢も刺激するのか、女性であっても、300グラムの肉を「ペロリとたいらげる」(川野さん)という。これだけ食べるといきなり、どれだけのカロリーになるのか、気になるところだ。

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